【これも首都圏】山林だらけの「秘境駅」から最寄りのコンビニまで歩くとどのくらい?
最近、ファンの間で「秘境駅」がブームとなっている。「秘境駅」とは、「断崖絶壁や荒野に存在し、駅の周囲に何もない駅」のこと。秘境駅の周囲には人家や自動販売機すらないことも多い。
果たしてその秘境っぷりはいかほどのものか。それを検証するため、「秘境駅」から一体何km歩けば「利便性の象徴」であるコンビニにたどり着けるのかを調査した。
今回訪れたのは千葉県夷隅郡大多喜町にある いすみ鉄道「三育学院大学久我原駅」。首都圏だが「秘境駅」だ。久我原駅の周囲には数軒の人家しか見られない。この近くにコンビニはそもそも存在するのだろうか。
大自然に覆われた小さな待合室
窓のない古びた小屋が「三育学院大学久我原駅」の待合室である。都会出身の人は驚くかもしれないが、これが駅なのだ。
駅から歩き出す。来た道を振り返ると、駅がいかに山間にあるかがわかる。
普通の駅なら住宅地や商店街が周囲に広がっているだろうところに、この駅の場合は山林が広がっている。コンビニはもちろん、自動販売機すら見られない。人通りも全くなく、非常に静かである。
上は以前訪れた際に撮った写真だ。初夏になると秘境度はぐっと増す。
さて、そろそろ駅を後にしてコンビニを探すとしよう。駅名から付近に大学があることがわかるが、看板によると「2km先」。歩いてすぐのところに国道があるようだが、こんな調子ではコンビニはおろか民家以外何も見つからないのでは……。
歩き始めて5分でラーメン屋!?
しかし、そんな予測は大きく外れた。5分足らずで到着した国道は交通量が多く、騒がしいほど。そして国道に到着してすぐに目に入ったものはこれだ。
秘境駅から徒歩5分のところにはラーメン屋があった。駅周辺の閑散とした様子からは想像できない光景だ。
意外と近かったコンビニ
歩いて10分もすると周囲の景色は開けてくる。人家はまばらであるが、国道を進むにつれて徐々に増えてくる。しばらくして1つの看板が見えてきた。
全国展開している有名コンビニチェーンの看板だ。間違いない。ここが秘境駅から一番近いコンビニである。
到着したコンビニはファミリーマート大多喜石神店。車が多く止まっており、車での利用者が多いことがうかがえる。一見普通のコンビニである。周囲もそこまで秘境らしくない。
入り口あたりで「い鐵揚げ」という他では見かけない菓子が売られていた。久我原駅を運営する「いすみ鉄道」が製造・販売をしているらしい。
駅を利用する地元客は全く見られず、コンビニの利用客は車を使う人がほとんどだったが、地域の特産品が鉄道と地元をつないでいるようだ。
さて、久我原駅からコンビニまではどのくらいの距離があったのだろうか。実際歩いてみたところ、20分足らずで到着した。距離にしておよそ1.3kmである。実はそこまで遠くなかったのである……。
「秘境」と言っても徒歩圏内にコンビニがあり、しかも賑わいを見せている。人々の生活が根付いていることを実感した秘境駅訪問であった。
今回訪れたのは日本各地にある「秘境駅」のうちの一例にすぎないが、「秘境」と名づけられているからと言って必ずしも「極度に立ち遅れている地域」というわけではなさそうだ。
文・写真/貝殻良太