慶應シネマ研究会が選ぶ「イチオシ冒険映画」5選
(Photo by Ginny)
『天空の城ラピュタ』『インディ・ジョーンズ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』……冒険映画は、誰が観ても心が躍るもの。特に夏休み、アイスを片手に冒険映画を観ていると次第に童心に返っていくような感覚がします。
今回は、慶應大学の中でも無類の映画好きが集まる「シネマ研究会」に、好きな冒険映画について聞いてみました。
小さい頃の記憶が蘇る!『トレジャープラネット』
※画像はAmazonより
この映画の見所は、主人公のジムと船長(実は海賊)のシルバーの関係性です。ジムは母子家庭なのでシルバーを父親のように慕っています。シルバーもはじめはジムを利用しようとしますが次第に我が子のように思い始める過程が感動です。特にラストのシーンが感動的!また、出航のときにかかるThe Launch という曲が好きです!(1年・女)
2002年に公開されたディズニー映画。小さい頃を思い出して、つい懐かしんでしまう方もいるのではないでしょうか。原作はR.L.スティーブンソンの『宝島』ですが、舞台を海から宇宙へと変え、よりスケールの大きな物語に仕上げています。「ディズニー映画は子供が観るもの」なんて考えずに、宝探しの冒険に浸ってみてはいかがでしょうか。
少し怖い冒険映画……『パンズ・ラビリンス』
※画像はAmazonより
冒険映画と聞くと胸の踊るような展開を思い浮かべますが、それとは全く違うテイストでまるで悪夢のような展開の中にファンタジー要素を取り入れた冒険映画として、この作品を紹介しておきます。まさしく「悪夢の国のアリス」といった感じの雰囲気で、『スタンド・バイ・ミー』などの王道な冒険映画とは全く異なるテイストを味わえます。ラストも解釈が大きく別れる内容(だと個人的には思う)ですのでオススメしときます。(3年・男)
2007年に公開された、スペインのダーク・ファンタジー作品。スペイン内戦後の不穏な現実に生きる少女が、山羊に似た「パン」という神に導かれて幻想の世界に踏み出す話です。現実も厳しいし、幻想の世界もおどろおどろしい。特に、幻想の世界で登場する怪物のインパクトが強烈です。一風変わった冒険映画に挑戦したい方は、ぜひ挑戦してみてください。
心のモヤモヤを抱えるひとに『イントゥ・ザ・ワイルド』
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裕福な家庭で生まれ物質的に恵まれた環境で育った主人公が、この世の真理を求めて、身分証を捨ててアラスカの大自然に放浪の旅に出るというストーリーです。恵まれていながらもどこか心の隅に満たされない気持ちを抱える現代の人々は皆共感できるという意味で、この映画は「我々の失ったものを求める冒険の旅」ではないでしょうか。(3年・男)
2008年に公開されたロード・ムービーです。監督は俳優としても有名なショーン・ペン。裕福な上に成績優秀、一見「恵まれている」青年がアラスカの荒野で謎の死を遂げた……という実際に起こった出来事を元にしています。主人公は22歳と若く、大学生なら共感してしまう人も多いはず。
天才少年の可愛さに癒される『天才スピヴェット』
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『天才スピヴェット』は、主人公の子供らしい表現力・想像力が3Dの飛び出す映像で楽しく描かれている点、物理学の権威である賞を受賞するほどの天才でありながらもときどき垣間見得る主人公の子供らしい行動に注目です。(3年・男)
『アメリ』で有名なジャン・ピエール・ジュネ監督が手掛けた、2014年の映画です。とある学術協会から権威ある科学賞を授与された10歳の少年スピヴェット。家族に一向に理解されない彼は、家出をして一人授与式の会場へと向かいます。子供が主人公の冒険映画はファンタジー要素が強くなりがちですが、この作品ではスピヴェットは冒険しつつも常に現実と直面しています。ほろ苦い現実で生きる天才少年の成長していく姿を、見守ってみてはいかがでしょうか。
年老いた父親の冒険奇譚『ビッグ・フィッシュ』
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回想の中の父、エドワード・ブルームは愛のためならどんな障害をも乗り越えるスーパーヒーロー。そんな彼の話を息子は信じない。実際父は相当な脚色をしているのであろう。しかしそれでいいじゃないか。その脚色のなかに息子は父の理想や後悔を窺い知ることができ、教訓となるのだ。(2年・男)
2003年に公開された、ティム・バートン監督の作品です。彼は『コープス・ブライド』『シザー・ハンズ』などの薄暗い世界観で有名ですが、『ビッグ・フィッシュ』は比較的明るめ。年老いた父親が若い頃に体験した冒険の数々、その話に懐疑を抱く息子の親子愛が描かれています。父親が冒険先で出会う、個性あふれる仲間たちにも注目です。
「シネマ研究会」がおすすめする冒険映画、いかがでしたか?スクリーン越しでも十二分に心を躍らせられること請け合いです。
取材・文/城見島ほのか