世界の本屋~すごいのは食だけじゃない!「美食の国」ベルギー編
「世界の本屋」シリーズ第四弾は、ベルギーに注目します。
「美食の国」と呼ばれるヨーロッパの小国には、どんな書店があるのか?早速探してきました。
チェーンの書店といえばここ!何でも揃う「fnac」
筆者はベルギーのデパートを散策していたところ、最上階にこの書店を見つけました。
「fnac」はフランスの総合的なチェーンの書店で、現在はベルギーやイタリア、ポルトガルにまで進出しています。そういえば、筆者の持っているフランス語の教科書の会話文にも「fnac」という言葉が登場していました。
ちなみに「fnac」はFédération Nationale d’Achats des Cadres の略。直訳すると「マネージャーのための国民的購入連盟」になります。
書店といいつつも、DVDやCD、パソコン、音楽プレーヤーなどの電子機器も置いているのが「fnac」の特徴。とりあえずここに行けば何でも揃っているので、退屈しません。
▲DVDコーナー。日本で劇場公開され始めた映画が、ベルギーでは既にDVDとして発売されています。
ベルギーの「fnac」に来て一番驚いたことは、その本の言語の豊富さ。フランス語はもちろん、「英語」「オランダ語」「ドイツ語」「イタリア語」「スペイン語」など、店内は言語別に多くの空間に分けられていました。理由は、ベルギーが主にフランス語圏、オランダ語圏、ドイツ語圏の3つに分かれている多言語国家であるからでしょう。日本の大型書店ではなかなか見られない光景です。
▲天井には、言語別に標識が。上から順に、「ドイツ文学」「イタリア文学」「スペイン文学」。
ここは児童書のコーナーです。天井からオブジェが吊るされていて、ポップな空間になっていました。本の表紙に「○才専用」のシールが貼られているのが親切ですね。
また、「世界の書店から~ドイツ編」にもありましたが、ベルギーの「fnac」もmangaの充実ぶりに驚かざるを得ませんでした。壁一面に日本の漫画のフランス語版がずらり……。筆者は思わず『黒執事(仏題:Black Butler)』の新刊を購入してしまいました。
筆者は「fnac」に、ほぼ開店(10時)と同時に入ったのですが、さすがにまだお客さんは少なく、至るところで店員さんが暇そうに座っていました。ちなみに入口には警備員が一人立っていて、デパートだからでしょうか、セキュリティに力を入れている印象を受けました。
2階からの展望が美しい「Tropismes」
筆者が「fnac」の次に向かった書店「Tropismes」は、観光名所グランプラスから歩いて5分の場所にありました。
首都ブリュッセルの中心地にあるこの広場は、「世界一美しい広場」として1998年に世界遺産として登録されています。ちなみに、「世界三大がっかり名所」の一つでもある「小便小僧」もこのすぐ近くに立っています。
「Tropismes」はグランプラスの近くにあるアーケード街「ギャルリーサンチュベール」の通りに面しています。筆記体で書かれた看板がお洒落。
大型チェーンの「fnac」とは違い、「Tropismes」は小ぢんまりとした店内にびっしりと本が詰まっています。奥には狭い階段があり、地下1階(画集・専門書)と2階(児童書)へと続いています。
▲日本の本・漫画もちらほら見かけました。
▲クッキング本。色鮮やかで可愛らしい表紙のものが多いです。
この書店の一番の特徴は、その美しさ。
2階から見た店内の様子に、思わずハッとしてしまいます。
「Tropismes」の建物は昔ダンスホールとして使われていたらしく、1階の壁のほとんどが鏡張り。2階から見下ろすと、本棚の列がずっと奥まで続いているような錯覚がします。よく見ると天井や柱にも細かい装飾が施されていて、ダンスホールとして使われていた頃を思わず想像してしまいます。
観光名所のすぐ近くにある書店ですが、中は思ったよりも空いていて、雰囲気は落ち着いています。お洒落なポストカードも沢山売っていたので、グランプラスの帰りに寄るのもいいかもしれません。
今回は、ベルギーにある大型チェーン書店と、観光地からすぐの個性あふれる書店を紹介しました。
「美食の国」と名高いベルギーですが、レストランだけではなく書店にも足を運んでみると、面白い発見がきっとあるはずです。
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