廃止寸前!? 北海道に存在する究極の秘境駅!
秘境駅。それは深い山中や荒野など人家がないところに存在し、乗客がほとんどおらず、存在すら忘れ去られている駅を指す言葉である。
(写真上はJR札沼線の豊ヶ岡駅にて)
しかし、近年そんな秘境駅の存在が雑誌やテレビで大きく取り上げられ、多くの人々から注目を集めるようになった。秘境駅を巡ることを目的とした「飯田線秘境駅号」が運行されるなど、その影響力はとどまることを知らない。
しばらくは安泰だと思われていた秘境駅だったが、先月衝撃のニュースが入ってきた。JR北海道が経営再建策の一環として、道内随一の秘境駅である小幌駅の廃止を地元に要請したのだ。
小幌駅だけではなく、道内にある他の秘境駅も廃止は近いだろう。そこで、今回は今のうちに訪れておきたい北海道の秘境駅を特集する。
列車は1日1往復!? 列車到達難易度全国一の秘境駅!
列車を逃すと次の列車は翌日…!? 北海道の秘境駅には常識が通じない駅がある。JR石北本線の上白滝(かみしらたき)駅だ。
隣駅の上川駅からは30km以上も離れており、列車でも1時間近くかかる。
駅の一方には道道と数件の民家しかなく、駅の一方には山と草原が広がり、何の建物も見られない。
この駅の時刻表を見ていただきたい。時刻表からは寂しさすら感じられる。
報道によれば、上白滝駅は来年3月で廃止される見込みとなっている。上白滝駅を訪れることができるのも、あと少しということだ。
北海道の最果て! 日本最北端の無人駅
皆さんは「北海道らしい風景」といったら何を思い浮かべるだろうか。大草原、荒野、牧場…そんな風景を思い浮かべるかもしれない。
JR宗谷本線の抜海(ばっかい)駅は、まさしくそんな「北海道らしい風景」の真っただ中にある。
何一つ遮るものがない大草原。数軒の人家と駅以外に建物は見当たらない。稚内の市街地から南に約10kmのところにあり、日本最北端の無人駅でもある。
駅から見える絶景はこれだけではない。駅から10分ほど歩くと、海が広がる。
草原の向こう側に見える海はとても美しく、雲が低い位置に見えることで幻想的な風景を作り出している。
抜海駅は高校生の定期利用者がおり、廃止の噂も立っていないが、秘境駅といえるくらい人家や利用者が少ないので今のうちに訪れておいたほうがいいだろう。
聞こえるのは風と虫の音だけ!? 車すらほとんど通らない荒野の秘境駅!
北海道の秘境駅の中で筆者が一番おすすめしたいのが、JR根室本線の初田牛(はつたうし)駅だ。
この駅は訪れた人に対し、他の秘境駅とは比べ物にならないくらい秘境を感じさせる駅である。まずはこの駅の「駅前通り」から見ていただきたい。
この写真の中にある人工物は何だろうか。標識、駅の待合室、道路、電柱…そのくらいしかない。これが「駅前」の風景なのだ。この道路自体もほとんど車が通らず、恐ろしいほどの静けさがある。
続いて、ホームからの風景をご覧いただこう。
線路を飲み込むくらい草が生えている他は、人家も何も見当たらない。この駅は人家すら1軒も寄せ付けない、まさに「秘境」にあるのだ。
駅の周囲からは人間の生活を感じさせる、車の走行音や人の話し声、テレビや機械の音、そういった類の音が何1つ聞こえてこない。虫や風、自然が作り出す静けさがこの駅にはあるのだ。
この駅もまだ廃止の噂は出ていないが、人の生活音すら周囲から聞こえない駅であるから、廃止される日も遠くはないだろう。
北海道の秘境駅にはこの切符!
ここまで北海道の秘境駅を紹介してきたが、「北海道は遠いし、なかなか訪れる機会もない」と言う人もいるかもしれない。そんな方におすすめの切符がある。
JR東日本、北海道で発売されている「北海道&東日本パス」だ。
この切符は春・夏・冬に発売され、有効期間は使用開始から7日間で10290円という非常に安い切符となっている。
今年の夏は9月30日まで使用することができ、これから夏を満喫するという人でも楽しめる。北海道の駅を巡るには最適の切符だ。
今年の夏は廃止目前の北海道の秘境駅を巡ってみてもいいのではないだろうか。
文・写真/貝殻良太