本日より映画公開!実写版図書館戦争の魅力とは?
※画像はスクリーンショットです。
10月4日の第一弾映画放送、5日のドラマ放送に加え、10日からは映画も続編が公開される図書館戦争! 2013年4月に放映された映画「図書館戦争-LIBRARY WARS-」を見た人、そして、今後の映像化作品を見ようとしている人はほとんどが原作を知っている人だろう。
ここでは小説と映画、双方の魅力と、二つを味わってこそ見えてくる新たな解釈、そして続編映画の注目ポイントにも迫っていく。
■文章の良さと映像の良さ
小説だけではなく、漫画やアニメと原作のあるものの実写化というは非常に難しいものだ。原作信者なんて人も多いのでは。しかし、文章には文章の、映像には映像の良さがある。
小説『図書館戦争』シリーズでは、登場人物同士の交わす言葉や心情を表す表現が魅力的で、読者のツボを押すものが多い。映画化したシリーズの1巻である「図書館戦争」から例を挙げてみよう。
主人公の笠原郁の人となりを把握できるのが、訓練の一環で行われる柔道で郁が堂上にドロップキックをかますシーンである。有川氏はこのシリーズで長音符「-」を多用しているが、そのおかげでセリフに迫力やコメディカルさが加わっている。郁の性格やテンション、そしてこの物語のテンポを最初に感じられるところだ。
登場人物の心情描写で目を引くのは、やはりメインである郁もそうだが、物語が進むに連れて、視点が多くなっていく堂上のものだ。特に、郁が図書隊司令と共に誘拐され、救出に向かう道すがらの心の中での語り、そして「後生だから無事でいろ。」という言葉は読んでいる側も胸にくるものだ。そこの一文前後を1行ずつ空けているあたり、有川氏の文の扱いは上手いとしか言いようがない。
このように、文章だからこそ生み出せるテンポや間が特徴的だ。
一方、映画だからこそ、と言えるのが文章だけでは現せない迫力満載のアクションシーンである。挙げるとすれば、堂上の体術シーン、そして『情報歴史資料館』の銃撃戦だろう。
図書隊司令と郁を誘拐した犯人たちと堂上が取っ組み合い、鮮やかに伸していく場面は、動きのある視覚情報があるからこそ生かされる演出であり、文字では想像しづらい肉弾戦を感じられる。
銃撃戦の方は銃の火力や威力、すべてに迫力があると同時に、本のために武器を取って戦う、というこの物語において最も重要な点の現実味を味わうことができる。
このように、映像だからこそ生み出せるリアリティや迫力があるのだ。
■映画を見て生まれる、新たな解釈
映画を見る前に、もう何度も何度も読み返した原作小説。だからこそ、どこが笑いどころか泣きどころか、わかってしまっているものだ。 しかし、映画を見た後、改めて原作を読んでみると、今までと違う感じ方や解釈が生まれることもある。 そんなシーンを2つほど紹介していく。
原作と映画とでは、まず冒頭から異なるが、その中でも映画のメディア良化法成立から図書隊成立までの流れの表現から受けるイメージが小説を読んでいた時とは異なっていた。小説だと説明的なものになっていた箇所が、映画では具体的な流れを映像として表現されることで非現実的な設定に対してもリアリティを感じられた。
もう一つの例は、『情報歴史資料館』銃撃戦における印象である。ここは激しい攻防戦というイメージと同時に、堂上が戦闘に参加させなかった郁のことを合間合間に思い出す場面であり、恋愛面のイメージもあった。しかし、映画だと堂上の心情描写はなく、またふと思案する瞬間も郁のことというよりも戦闘に対するもの、という印象を受けた。それにより、銃撃戦に緊迫感が生まれたのは確かである。
小説ときは気がつかなかったが、映像によって表現されることで、文章ではこの場面でどういうことを感じ取ってほしいのか、という作者の意図のようなものを考えさせられる。不思議に思ったシーンや原作との違いを感じたところがあったのなら、小説を確認してみてほしい。新たな発見があるだろう。
■「THE LAST MISSION」注目ポイント!
さて、今回の「図書館戦争 THE LAST MISSION」ではどんな展開が待ち受けているのだろうか。
スペシャルドラマは小牧の幼馴染である毬江の話がメインであったが、メディア良化委員会による小牧の査問会や毬江の記者会見は涙なしでは見られなかったことだろう。派手なアクションはなかったものの、感動のシーンが上手く表現されていた。
映画に関しては小説「図書館危機」にある茨城県展を元にしてストーリーが構成されているようだ。原作と違う点は手塚慧が明らかに対立する側に立っているところと、鍵となっているのが本である点だ。小説では、とある作家の亡命が最終目的だったのに対し、映画では「図書館法規要覧」という本を守り抜くことが最大の目的となっている。
予告ムービーを見る限り、激しい銃撃戦がクローズアップされるようなので、小説よりも緊迫感があり、ハラハラドキドキが止まらなさそうだ。前作では少なかった郁のアクションシーンも期待できるとのこと。ライブラリータスクフォースがどうやって困難を切り抜けていくのかが見所である。そして、同時に忘れてはいけないのが、郁と堂上の恋愛だ。予告ムービーでは堂上負傷のシーンがあったので、原作通りにいくのか、はたまた違う展開を見せるのか、楽しみなところである。
これを読んで原作小説を読みたくなったあなた。ぜひ、今すぐにでも読み返してみよう。 そして、本日公開の映画を見て、文章と映像によって生まれる感動を味わってみてはいかがだろうか?