ぼくらの爆発実験《ニンジンロケット・粉塵爆発》
※この記事は明治大学フリーペーパー工房の『bootleg vol.29 summer』からの転載です。
夏休みのある日、ぼくらにはある課題が残されている事に気づいてしまった。そう、自由研究である。
夏休みが始まる前はアサガオの観察日記でもつければいいだろうと思っていたが、その朝顔も水をやるのを忘れて枯れさせてしまった。
夏休みも残りわずかしかない。家にある材料で簡単にできる実験はないだろうか…・。
悩むぼくらは母親に内緒で台所に何かないか探していた。ふと目に入ったのは小麦粉とニンジン。
「そうだ! 台所にある材料で爆発を起こそう!」
ぼくらの誰かがそう思った。
そしてぼくらの爆発実験が今はじまる。
■ニンジンロケット
用意するもの
・オキシドール(コンタクトの洗浄液でも可)
・ニンジン
・すりおろし器
・フラスコとコルク
オキシドール、別名「過酸化水素水」は時間が経過すると水と酸素に分解されます。その現象を促進させる物質がニンジンに含まれるカタラーゼです。
今回の実験はフラスコの中にニンジンとオキシドールを入れて、酸素を急激に発生させ、フラスコのコルクをロケットのように飛ばす実験です。
※コルクはかなり高く飛ぶので、必ず屋外で実験しましょう。
●実験日記(20×4ねん8がつ28にち)
某日、山奥にあるグラウンドでぼくらの実験は行われた。
まずニンジンをすりおろし、水気を切ってフラスコの中に入れる。そしてオキシドールを注ぎ、急いでコルクをしめた。
ぼくらは今か今かとコルクを見つめたが、いつまでたってもコルクは飛び出さない。どうやらニンジンとオキシドールの量が少なかったようだ。
しかしぼくらは諦めない。フラスコを一度洗って、今度はニンジンをフラスコの3分の2ほど入れる。
手早くオキシドールを注いでコルクをしめて、フラスコを見つめるぼくら。容器内で静かに反応が起こっている。
ポン!という音とともにコルクは空高く飛んだ。
ニンジンロケットは大成功だった。
■粉塵爆発
用意するもの
・粉(小麦粉など)
・火元
・エアダスター
・ソースディスペンサー
・もしもの時の水
粉塵爆発は、可燃性の固体微粒子が空気中に一定の濃度で浮遊し、発火源が存在しており、空気中にある程度酸素がある条件下で起こります。
今回は小麦粉とエアダスターを使って、小さな火炎を引き起こします。
※身近で簡単に起こりうる現象なので、決して延焼しやすいものが周りにある環境では行わないでください。
※安全には十分気を付けておこなってください。
●実験日記(20×4ねん8がつ29にち)
某日、ぼくらは東京のある河川敷に集まった。みんなニンジンロケットに引き続き、粉塵爆発も成功させようと意気込んでいた。
まず粉塵爆発をするための装置を作り、エアダスターで小麦粉を巻き上げ、発火源であるマッチを投げ入れる。
しかし、ビニールが延焼するだけで粉塵による炎はまったく起こらなかった。
ぼくらはもう一度装置を作り直し、割くほどの実験よりエアダスターを強めに吹き粉塵をまき散らした。マッチを入れた途端、爆発音とともに強い炎が巻き上がる!
「粉塵爆発が成功した!」一瞬そう思ったが、周囲にガスのにおいが漂っていた。
どうやらエアダスターの可燃性ガスに引火しただけのようだ。
残念ながらその日は粉塵爆発を成功させることができず、ぼくらは河川敷を後にした。
●実験日記(20×4ねん8がつ30にち)
某日、ぼくらは粉塵爆発を成功させるために再び集まった。
今度はガス爆発が起こらないように、エアダスターを使わず、百均に売っていたソースディスペンサーに小麦粉を入れて、粉塵を巻き上げることにした。
まず、周りに燃えやすい物がない場所に発火源を用意する。そして発火源の近くから風向きに沿って、ソースディスペンサーから一気に粉塵を巻き上げた。
そして、勢いよく巻き上がった粉塵は延焼反応を起こし、大きな爆炎を作り上げた。
こうしてぼくらの爆発実験は何とか成功した。
身近な材料でここまでの爆発を起こせることに感動したぼくらは、すっかり爆発実験の魅力に取りつかれてしまった。
ぼくらの爆発実験はこれからも続くであろう…。
※
爆破はとても危険な行為です。しっかりと原理を理解し、むちゃなことはせず、常識の範囲内で安全に爆破しましょう。
爆破は周りに燃えやすいものがない環境でおこなってください。河川敷などがおすすめですが、火の類を禁止していることもあります。事前に調べましょう。
この記事を参考にして何かあっても、私たちは一切の責任を負いません。
文・写真/フリーペーパー工房
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