開成学園最大の行事! 負けたら土下座の「ガチ」すぎる運動会とは!?
運動会といえば学校の一大行事。例に漏れず、日本一の進学校である開成学園も運動会が一大行事の1つ。開成と言えば毎年東大合格者を200名近く排出することで知られていますが、運動会は体育会系でとてもアツいんです!
種目に挑むときに上半身は裸、ルールブックはなんと100ページ以上!他の学校とは比にならないほどの熱意があります。今回は開成学園を卒業した筆者が、母校の知られざる一面、ちょっと引くほどガチな運動会を紹介します。
紫?黒?やたらと多い組の数!
巷では大学受験に向けて勉強ばかりしていると思われがちな開成生が並々ならぬ情熱を注いでいる運動会とはどのようなものなのか?簡単にご説明しましょう。
まず特徴的なのは組の数の多さです。クラスや出席番号毎に紫、白、青、緑、橙、赤、黄、黒の八色に分かれて優勝を争います。紫組や黒組といった馴染みのない色も混じっているのが特徴です。
かつてはピンク組という組もあったのですが、「なんか弱そう」という理由で廃止になったそうです。
全てを懸ける団体競技!
驚くべきはその競技内容です。開成の運動会には綱引きや玉入れ、徒競走のような平和な種目が存在しません。リレーだけはありますが配点も少ないため大して重視されておらず、箸休め的な扱いです。
その代わり、学年ごとにトーナメント形式で行われる団体競技ただ一つに、開成生は文字通り命を懸けて取り組みます。
団体競技はそれぞれ中一が馬上鉢巻き取り(騎乗が着用した鉢巻きを奪い合う一般的な騎馬戦)、中二が綱取り、中三が俵取り(フィールドに置かれた複数の綱や俵をそれぞれ押したり引いたりして奪い合う)を行います。
高校に上がるとその競技はよりハードになり、高一が騎馬戦(騎乗を地面に落としあう騎馬戦)、高二、高三が棒倒しを行うことが決められています。厳密に定められたルールの下、各組作戦を練って優勝を目指します。競技は非常に激しく、怪我をする生徒も少なくないようです。
組ごとの応援歌に分厚いルールブック?運動会のための一年
開成学園は自由な校風で知られており、学校行事のほとんどは生徒主体で運営されています。運動会も例外ではなく、運動会が終わった翌日から翌年の運動会の中心となる高二と運営を担う学生組織の手によって運動会に向けた準備が始まります。
例えば高二各組では運動会の役職選挙が行われ、組ごとに作成する選挙法に基づいて応援団長や各学年チーフ等二十人ほどの役員を選出します。
この選挙は時に壮絶な役員争奪戦の様相を呈することもあり、クラス内の人間関係や信頼関係が如実に表れるので険悪なムードになることも多いです。
こうして選出された役員を中心として、各学年指導の計画や戦略研究、練習メニューの作成は勿論、エール(各組毎年作曲する応援歌)、アーチ(各組毎年作成する巨大な壁画)、パンフレット(各組毎年編集する200頁近い雑誌)の作成を行います。
一方で運動会準備委員会や審判団を中心に、二学期から三学期にかけて各競技のルール案なども検討され、最終的に審判団の構成員に配布されるルールブックは100頁以上になります。
運動会当日の異様な熱気
「今日晴れて良かった!」という実行委員長の世界一短い挨拶が運動会開幕の合図です。各組の生徒が「桟敷」と呼ばれるアーチの飾られた奇妙な台の上で飛び跳ね、会場の熱気は徐々に上がっていきます。
競技中の生徒は怪我防止用のプロテクターを着用してマシュマロの様になりながら必死で戦います(高一以下は着用が義務付けられている。高二以上は基本上裸)。知らない人が見れば、明らかに異様な光景と言えるでしょう。
勝てば飛び上がって狂ったように喜び、負ければ涙を流して組の桟敷の前で土下座して謝る姿は、まさに祭りにおける集団的沸騰です。開成生にとっても観客にとっても一度虜になってしまうと逃れられない魅力が運動会には詰まっています。
開成学園の生徒のパワーは勉強だけでなく、運動会のような体育会系の分野でも発揮されているのです。
文・写真/宮川裕陽