元旦の未明だけ走る!? 年に一度の「初日の出列車」とは?
正月が明け、そろそろ大学の授業も再開される頃……皆さんはどんなお正月を過ごしただろうか。
「元旦は初日の出を見た!」という人も多いかもしれない。実は、そんな初日の出を見る人のために毎年様々な臨時列車が運行されている。
年に1回しか見られない珍しい列車を目当てに、多くの人が駅に詰めかける。中には、その臨時列車を撮影するためだけに、元旦の未明から駅のホームに立っている人たちもいるくらいだ。今回は、「初日の出号」で熱狂する元旦の駅の様子をご紹介しよう。
運行本数10本以上! ロマンスカーがひっきりなしに発車する小田急
最初に向かったのは、小田急電鉄の新宿駅。1時台からロマンスカー(小田急電鉄の有料特急列車)が見られる。元旦の深夜・早朝に発車するロマンスカーは、「ニューイヤーエクスプレス」という特殊な愛称があり、本数も多い。
▲最新形の60000形MSE。ブルーが映える。方向幕には朝日をかたどったマークも見える。
ニューイヤーエクスプレス号は、2016年の元旦、片瀬江ノ島行きが9本と小田原行きが2本運行された。江ノ島へ初日の出を見に行く客の多さが伺える。
▲こちらは30000形EXEのニューイヤーエクスプレス号。赤字で「NEW YEAR ニューイヤー」と書かれているのが見える。
ホームには1時台でありながら、鉄道ファンが詰めかけていた。新年最初の臨時特急列車ということもあり、注目が集まっていたのだろう。
JRは房総の初日の出客を運ぶ!
続いてやってきたのはJR新宿駅。2時台が初日の出列車のラッシュだ。2時台の列車は、全て銚子か勝浦方面へ向かう。
2時台に3本立て続いて来るのは、銚子行きの「犬吠初日の出号」 だ。特急列車の行き先表示には、「特急 犬吠初日の出」の文字が見える。
銚子には、列車の名前ともなっている犬吠岬がある。関東最東端の岬と言われており、日の出の名所として名高い。
特徴的なヘッドマークが大人気! 京王線迎光号
午前3時。最後に撮影するのは、高尾山のご来光を目的に走る、京王線の「迎光号」だ。迎光号は都心を走る初日の出列車の中でも、特に強い人気を誇っている。その理由は特徴的なヘッドマークにある。
筆者は「京王新線」の新宿駅へと向かった。ここには、都営新宿線から直通の初日の出列車が1本だけやってくる。
迎光号は、非常にかわいいヘッドマークをつけてやってきた!
これがそのヘッドマーク。他の初日の出列車と比べても、絵が描かれているデザインは非常に珍しい。「2016」という数字もデザインされている。おそらく、今年しか見られない代物だろう。
この貴重なヘッドマークを撮影するために、車内からも多くの乗客が下りてきた。ホームは、あっという間に撮影する客でいっぱいに。新線新宿駅では停車時間が長めにとられていることもあり、非常に多くの客が撮影していた。撮影者の多さは、他の初日の出号と比べるまでもない。
一方、京王線新宿駅からは、3本の初日の出列車が高尾山に向けて走る。「TAKAO 迎光」という文字がしっかり入ったヘッドマークが車両の真ん中に取り付けられている。このような特別なヘッドマークが取り付けられていると、ファンでなくても思わずカメラを向けたくなる。
元旦の未明から始まる、初日の出列車というイベント。よく考えれば、このような列車が運行できるのも元旦から働く鉄道関係者の方たちのおかげ。初日の出列車の裏側にある鉄道関係者の努力には頭が下がるものだ。
文・写真/貝殻良太