早稲田発のファッションフリーペーパー!? ENJIの魅力に迫る!
ダサいダサいと言われ続けた早稲田大学。しかし、そんな早稲田大学にも「ファッション誌」があることをご存じだろうか。
「ENJI」は、「ファッションデワセダヲカエル」をコンセプトに掲げる、2009年に発足した早稲田大学のフリーペーパー団体だ。早稲田からどんなファッションを提示しようというのか。
今回はそんなENJIの2016年度代表にお話を伺った。
身近なモデルからファッションに興味を!
――ENJIは、「ファッションデワセダヲカエル」をコンセプトに上げていると思いますが、どんな形で変えようと思っていますか?
ENJI代表:
代変わりや個人の解釈によって変わるとは思いますが、僕としては「ファッションで早稲田が直接変わった瞬間」を視覚的に確認することは難しいと思っています。たとえ目で見てはっきりとわかるような変化は確認できなくとも、読者の中に「おしゃれをしてみたい」というような小さな心境の変化だったり、そういうきっかけや刺激になるものになっていただければいいなと思っています。
写真に写っているモデルは、全員早稲田生。他のファッション誌のようにモデルを育成することはあるのだろうか。
――モデルは普通の早稲田生がほとんどだと思うのですが、普通の学生をどのようにしてファッション誌に出られるように仕立てていくのでしょうか?
ENJI代表:
あまり仕立てていくイメージは持っていないです。例えば「こいつ俺の知り合いだ!」とか、キャンパスを歩いていそうな人が映っているからこそ、フリーペーパーの内容が身近に感じられるというか、遠い存在ではなく自分の身の回りにいる存在だと感じることができると思います。
写真を撮る際には、かっこよくもしくはかわいく映すような意識はするんですけど、だからといってかっこよく見せる意識と同時に「身近な人がファッションをやっている」と近い存在であると感じさせるのが重要ではないかと僕は思います。
早稲田に特化したフリーペーパー
――ここは他のファッションのフリーペーパーと差別化しているという点は?
ENJI代表:
コンセプトが常に早稲田に焦点を当てているという点で他のファッションフリーペーパーとは違うと思いますね。モデルさんも全員早稲田生で、撮影場所もほぼ早稲田か高田馬場なので。ファッションと早稲田という縛りの中で作っているのがENJIの強みだと思います。
早稲田のファッションが特徴のENJI。その最新号は、「早稲田男大全」というテーマ。早稲田の男子学生である筆者は、このテーマに惹かれた。
――最新号は「男」をテーマにしていますが、男をテーマにした理由は何ですか?
ENJI代表:
一番の理由は、早稲田の男って「むさくるしい」とか、他の大学と比べて「イモ臭い」とか悪いイメージを持たれている人って結構多いと思ったからです。実際、早稲田の男たちはそんなことはないぞと。
1冊の本を通して伝えたいことは、「早稲田の男はいとおしいんだ」って皆さんに伝えたくて。例えば、わかりやすいのは男にしかわからないこだわりってあると思うんですね。フィギュアとか、車とかもそうだと思うんですが、女の子には理解できない部分を見てもらいつつ、男のいろんな部分を見てもらって「早稲田の男はいとおしいんだ」ってわかってほしいと思いテーマにしました。
▲最新号から、ファッションにこだわりがある早稲田男子を紹介する記事。隅の方には、早稲田女子に取ったファッションに関するアンケートの結果など、細かいところにも見どころがある。
早稲田色の強いブログ記事!
早稲田色はフリーペーパーだけでなく、ブログからも感じられる。ブログで印象的な記事も聞いてみた。
――特に特徴的な記事はありますか?
ENJI代表:
1つは、ヘアメイク企画です。この記事は、「ファッションデワセダヲカエル」というコンセプトを端的に表しているのではないかと思います。モデルさんが早稲田生で、アレンジを変えるだけで雰囲気が変わるという点が特徴的です。
ポニーテールのやり方や編み方を変えたりとか、手軽に見てもらえる内容だと思います。ヘアメイクって難しいものも多いと思うんですけど、これは手先が器用じゃなくてもできる学生向けのヘアメイクだと思います。
※画像はブログのスクリーンショットです。
もう1つは、「はたらくわせだ 10°CAFE」 。他にもいろいろなお店を取り上げているんですけど、今回取り上げさせてもらったのは、今の10°CAFEの店長さんが元ENJIのメンバーということもあります。この企画は、早稲田や高田馬場で実際働いている方々に、ファッションについて質問する感じですね。
ENJIの活動は、早稲田生だけではなく、早稲田の街にもスポットを当ててファッションで早稲田を変えるという点を意識してやっている部分もあるのでそれにもつながると思います。
――街をおしゃれにというのは、店がおしゃれというよりは、その店で働いている人のファッションを見るということでしょうか?
ENJI代表:
街がおしゃれになるってけっこう難しいじゃないですか。例えば、早稲田通りが表参道通りみたいになるなんてことはまずないでしょう。というよりは、早稲田の街でもおしゃれやファッションを楽しむきっかけを作れるというか、早稲田の店でもおしゃれを意識することによって、来てくれた人に楽しんでもらえるというか。そういう感じですかね。
ENJIの対象は早稲田大学の学生だけにとどまらず、「早稲田の街」でもあるようだ。
ファッションは楽しむもの!
ここで、一般的に言われる固定観念を質問してみた。
――ぶっ飛んだ質問になりますが、早稲田生ってダサいんですかね?
ENJI代表:
どうなんですかね……僕はどっちとも言えないと思います。早稲田がダサいっていうのは、昔からの固定観念だと思うんですよね。そういう経緯でENJIができたと思うんですけど、ダサいとは言い切れないんですよね。だからと言って、ダサくないとは言い切れない。
上から目線にはなるんですけど、ファッションやおしゃれを楽しめたらいいのになとは思いますね。ダサいからどうだとかそういう意味ではなくて、単純に楽しんでいいんじゃないかなあとは思います。
▲早稲田大学理工キャンパスにて。ダサいかダサくないかの判断は読者に任せよう。
面倒という理由から、ファッションをあまり楽しんでいない筆者。ファッションを手軽に楽しめる方法はあるのだろうか?
――おしゃれじゃない人や同じ服装を着ている人の意見だと、「手間がかかるんじゃないか」というものがあるんですけど、どうすれば手間がかからなくなるんでしょうか?
ENJI代表:
手間がかからないってことはないんじゃないですかね。おしゃれだけではなくて、自分が好きになったものってなにかと手間がかかるものだと思うんですよ。
例えば、野球とかも野球初心者の時に楽しめるかって言ったら、初めてやったときの楽しさはあるかと思うんですけど、野球の本当の楽しさを知れるというのは野球を本当に練習してうまくなってからっていう、そういう手間があってからだと思うんですよね。
そこまで手順を踏んだものではないと思うんですが……少しずつ始めてから楽しめるものだと思いますし、きっと誰でも人から良く見られたいというのはあると思いますし、おしゃれやファッションの楽しみ方は人それぞれだと思うので。全員が同じではないと思いますけど、それぞれの楽しみ方を見つけて楽しむのがいいと思います。
▲ENJI Vol.15より、男子大学生の「少し背伸びした」ファッションを紹介する記事。ファッションに楽しめる余裕が出てきたら、少し背伸びしたファッションに取り組んでもいいかもしれない。
――代表が考える「おしゃれ」とは?
ENJI代表:
ファッションの解釈は人それぞれ違うとは思いますが、僕はENJIで活動していると思うのは、ファッションって「人と人をつなぐもの」ではないかと。ファッションって自分と他者って存在があって成り立つものでもあると思うんですよ。おしゃれをしても自分と誰かがいてのものだと思いますし、ファッションのフリーペーパーに携わっていると、ファッションによってモデルさんや店とつながりますし。
この質問、難しい質問ですよね……。ずっと自分にとってファッションって何だろうって考えてはいるんですけど、なかなか答えは出ない。人それぞれだし、難しいと思います。何にせよ、楽しむものだということに変わりはないと思います。
ENJIが提示したファッション像は、学生にとって身近であり、楽しむもののようだ。
取材・文/甲斐田涼賀