独身は動物に変えられる!映画『ロブスター』で「好き」を考える
ロブスターの寿命は100歳を越えるという。
妻と別れたばかりの主人公デヴィッドは、そんな「長生きできるから」という理由で自分が変えられる動物にロブスターを選んだ。
(画像は公式サイトのスクリーンショットです。)
現在、新宿シネマカリテで上映中の映画『ロブスター』の舞台は、一人でいることが許されない世界。
独り身は即「婚活ホテル」に連行され、そこで期限内にパートナーを見つけないと、なんと姿を動物に変えられてしまうのだ。(ちなみに動物は自分で選択することができる。)
そんなブラックユーモアあふれる本作品の予告編はこちら。
今回はそんな「好き」とは何かを考えさせられる映画『ロブスター』の見どころを紹介する。
見どころ①:人としての尊厳を懸けた婚活!
婚活ホテルに宿泊できるのは45日間だけ。その期間を過ぎても相手が見つからなかった者は有無を言わさず動物に変えられる。人間としての尊厳を懸けた45日間で、主人公を含む独り身たちはさまざまな方法で相手を見つけようとする。
(Photo by Evandro O Souza) ※画像はイメージです。
その中でも目につくのが、「相手の真似」。とにかく相手と共通点を見出そうと、自分を偽ってでも相手に合わせるシーンが多いのだ。
多くの動物は求愛行動として相手の真似をする習性があるが、婚活ホテルに宿泊している独り身の多くは動物に変えられる前から「動物」化しているのだ。
独り身の男女が見せる不器用で短絡的なアプローチ方法を見て、過去の自分に思いを馳せるもよし。相手に合わせることが本当に恋愛に繋がるのかどうか、考えさせられる。
見どころ②:恋愛が罪の森!登場する動物にも注目
やがて主人公は「婚活ホテル」を抜け出し、物語は後半戦へ。主人公が逃げ込んだ先は独身主義者たちがひっそりと暮らす森で、そこでは恋愛が一切認められていない。万が一男女交際が見つかったら最後、大変な罰を受けることになる。そんな「極端」な世界なのだ。
(画像は公式サイトのスクリーンショットです。)
しかし規則があれば、それを破りたくなるのが人間の性。
主人公は「婚活ホテル」では意中の相手が全く見つからなかったものの、この森で運命の女性に出会う。
「好き」は強制されて芽生えるものではないことがよくわかる。
むしろ恋愛の「れ」の字もない緊張感のある場所でこそ、相手の良さに気づきやすくなるのではないだろうか。
森のシーンでは背景にも注目!
(Photo by Kohei314)※画像はイメージです。
ちなみに主人公と相手の女性が森で語らうシーンでは、後ろでラクダやクジャクが呑気に歩いている。彼らはみんな「婚活ホテル」で失敗した独り身の成れの果てだ。
森に本来いるはずのない動物たちの様子がまた面白く皮肉にあふれていて、この映画の見どころの1つになっている。
現実世界はどう?
観終わった途端、自分が現実世界にいることに感謝できる映画『ロブスター』。でも、私たちのいる世界も『ロブスター』の世界と似た部分があるかもしれない。
(Photo by Creative Ignition)※画像はイメージです。
特に10-20代の間で見られる「相手がいないとだめっしょ」的な風潮。
周りの視線やステータスを意識しすぎて、本当の「好き」の感情がわからなくなっている人もいるのではないだろうか?
トンデモ設定にツッコミを入れながら、自分の「好き」が本物なのかを考えて鑑賞するのもいいかもしれない。
『ロブスター』
監督・脚本:ヨルゴス・ランティモス
公式サイトはこちら。