プーさんの見方が180度変わる!?日本未公開映画『グッバイ・クリストファー・ロビン』とは
(Photo by Vanessa Lynn.)
現在、映画館で上映中の『プーと大人になった僕』。
世界中で愛されているクマのプーさんと大人になったクリストファー・ロビンの交流を描いた物語として注目を集めています。
しかし、そんなクマのプーさんが生み出されるまでの物語はあまり知られていません。
そこで、今回は日本で公開はされず、ネット配信やDVDのレンタルでしか見ることができないもう1つのクマのプーさんの映画『グッバイ・クリストファー・ロビン』について紹介します。
『グッバイ・クリストファー・ロビン』あらすじ
(画像はamazonより)
作家のA.A.ミルンは、第一次世界大戦に出征した後遺症でPTSD(心的外傷後ストレス障害)に。仕事ができなくなり、普通の生活にも支障が出てしまいます。
そこで、社交的で派手な性格の妻・ダフネと一人息子のクリストファー・ロビンことビリー・ムーン(ニックネーム)、とその乳母と一緒に大都会・ロンドンを離れ、静かな森の中で暮らすことにしました。
一方、ダフネは田舎の生活と何も書こうとはしないミルンに耐えきれなくなり、家から出ていってしまいます。
乳母も母親の具合が悪くなったため、暇をとることに。ミルンとビリーの2人きりの生活が始まります。
最初はぎこちなかったものの、次第に打ち解けていき、森の中で遊んで楽しく過ごすようになった2人。
そこで、ミルンはビリーとビリーの持つぬいぐるみたちをモデルに『クマのプーさん』を執筆しました。
本はまたたくまに人気になり、クリストファー・ロビンのモデルになったビリーは有名になります。しかし、この出来事がビリーを生涯苦しませる原因となるのです…。
あの物語の暗い歴史に…
(Photo by Melanie)
とにかくこの映画、ずっと暗めの感じで物語が進んでいきます。
PTSD症状に苦しむミルン。社交好きでダフネ。そんな2人の子どもビリーは家政婦に任せっぱなし…。
ミルンはただ自分と息子の交流を描いただけなのに、そのことで息子・ビリーが人生で重い十字架を背負っていくとは…。
クリストファー・ロビンの裏側に隠された暗い歴史を垣間見ることができます。
プーさんとは縁が遠いように思われる戦争のことや、家族、有名になりすぎた故の苦悩など、様々なことを考えさせられます。
この映画を見たとあとでプーさんの見方が変わること間違いなし。
唯一の癒しといえば父親・ミルンとビリーが森の中で遊ぶシーン。
そこには仲睦まじい親子の姿があります。
ビリーの無邪気な笑顔にきっと救われるでしょう。
プーさんの見方が180度変わる
(Photo by Carlos)
何度もいいますが、この物語はとにかく胸が締め付けられる想いになります。
はちみつを食べてのほほんとしているプーさん。
筆者はこの映画をみて「プーさんかわいい」と軽々しく口にしてはいけないなと思いました。
どんなに幸せな物語も現実では決してうまくいかない。世の中の不条理を知ります。
これを見て、またアニメなどのプーさんをみるとまた違った見方ができるはず。
そして、私たちが普段囃し立ててるものや人がどのような思いをしているか考えなければいけないなと世の中の真理について考えさせられます。
ところどころにプーさんに出てくるものが…
(Photo by Joe Penniston)
物語のところどころには、ハチや、赤い風船など、プーさんで登場してくる小物も登場。登場人物の名前など、こんな風にできたのか!と新しい発見ができます。
ちょっとしたプーさんの豆知識が増えますよ。
今まで知らなかった、もう一つの「クマのプーさん」の物語。あの微笑ましい物語の裏には何があったのか。現在公開中の映画と比較してみても面白いかもしれません。
ぜひ見てほしい1つの作品です。
(文/ひなた)