どうしても早稲田本キャンパスに入りたい人必見!早稲田受験の際に知っておきたい狙い目の学部・世間の認識よりも難しい学部を28歳早大生が語る!
(Photo by hiroaki maeda)
枯葉が舞うほど木枯らしが吹きすさぶ時期になり、今年も残り僅かになりました。受験生は間近に迫った受験シーズンに戦々恐々としているのではないかと思います。
筆者は、2018年度の入試で早稲田大学教育学部国語国文学科に合格することができましたが、常にゴールから逆算して計画を立て、時間を有効に使うための能率化を徹底したために呼び込めた戦略の勝利であると思っています。
今回は、受験時に早稲田の過去問を国語・英語各60年分、日本史80年分とやり込み、傾向を分析した筆者が早稲田受験の際に知っておくべきことをお伝えします。
3教科完璧じゃないと入れない?そんなことはない!入りやすい学部ベスト3
(Photo by Friscoeali)
世間的には、「早稲田大学」のくくりがある以上、学部間で大きな難易度の差はないと思われているのではないでしょうか。しかし、偏差値と配点と出題傾向を考慮すると、その中でも比較的入りやすい学部が浮かび上がってきます。そこで、大隈講堂や大隈銅像があり一番憧れている人が多いであろう、新宿区にある本キャンパスの学部の入りやすさランキングベスト3を公開します。
1位:教育学部
(Photo by San Jose Public Library)
まず、筆者が所属する教育学部が1位です。早稲田の中で一番学科の多い学部であり、最多の学生数を誇るこの学部棟は、キャンパスの最奥にあることから「早稲田のチベット」と学生に呼ばれて親しまれています。河合塾は学科ごとに偏差値を出していますが、文系学科はいずれも65-67.5の間です。偏差値67.5~70が多い早稲田の中では入りやすいですが、もちろん難関の水準です。
今年は指定校推薦の導入により、一般入試の合格者が2割程度削減されると見られていますので、更に難関となり偏差値が上がるでしょう。しかし、それを差し引いてもこの学部は学科数が豊富なので、自分の能力を分析することで、入りやすい学科を見極めて出願しやすいのです。
(Photo by University of Wolverhamp…)
教育学部の配点は、英語:国語:選択科目の配点比率がすべて50:50:50です。私立大学は英語の配点を重視するところが多いですが、この学部は珍しく英語の配点が高くありません。それに加えて、私のいる国語国文学科は国語の配点が1.5倍になり、50:75:50の比率となります。英語が苦手でも、国語で100%近くがとれる人間なら入れる可能性があるような配点です。筆者の身近にも、MARCHを全敗しても国語と歴史ができたから入れた人や、英語が38%でも入れた人がいました。
また、教育学部は各科目に基準点というものがあり、定められた点数を下回ると合格最低点を上回っても入れないという噂も聞きますが、私の知り合いで英語が5割以下で受かった方が複数人いることからも、あったとしてもそんなに高くないと思います。英語がとれないからといって諦めるのは早いですよ。
(余談ですが、私は2014年度の教育学部の英語で、唯一7割を超えました。しかし、この年度は平均点が31点台と他の年度より飛びぬけて高かったです。私より英語が得意だった予備校の生徒も、この年度で8割がとれたことに満足していましたが、結局早稲田は全敗してしまいました。いい点数がとれても実力がついたと勘違いしたり、まして天狗になったりしないように注意してください。)
実際に教育学部に在学している私は、国語と日本史が非常に得意な人が大勢いると実感しますが、英語が得意な方に適している学科もあります。それは英語英文学科と複合文化学科です。どちらも英語の配点が1.5倍ですが、私のおすすめは前者のほうです。ほかの学科に比べても倍率が低めですし、毎年複合文化学科よりも合格最低点が低いですからね。
また、すべてにおいて大きな穴はないけれど、得意科目があらず、それぞれ6割~7割程度で少しだけボーダーに届かないという方には、教育学科教育学専攻【生涯教育学専修】と教育学科初等教育専攻をお勧めしたいです。その中でも私のおすすめは前者です。その根拠は次回の記事でお伝えしますね。
2位:国際教養学部
(Photo by Salzburg Grobal Seminar)
この学部は意外に思われる方が多いかもしれません。地球規模でグローバル化が進む昨今、国際系の学部が最難関であるという大学は珍しくありません。早稲田大学の国際教養学部も、その国際化の流れを受けて2004年に新設された学部なので、非常に華やかなイメージがあります。しかし、2018年度の一般入試の倍率をみると5.1倍と、昨年の6.0倍よりも下がっており、偏差値も65です。
数年前より、中堅以上の私立大学は人員削減のために難化傾向が続いており、とりわけ国際系の学部は偏差値が高騰しています。
2018年度の入試では、早稲田・MARCH、関関同立のほとんどの大学で前年よりも受験者が増加し、厳しい競争を強いられました。しかし、最難関大学の慶應義塾大学は軒並み受験者を減らし、偏差値が下がるという珍事が起きました。これはどうしてでしょうか?
私が慶應の文学部を受験した時にもらった「慶應塾生新聞」では、この現象について、「受験生は浪人を避けるため、偏差値の高い大学や学部の受験を避ける傾向があり、その影響を受けたことも要因の一つと考えられる」と推測していました。
これと同じようなことが早稲田の国際教養学部にも当てはまるのではないでしょうか。浪人を避けるために、最難関大学の国際系学部の受験を避ける受験生が多かった、だから倍率が下がったと考えることは十二分にできます。実際、国際系学部は競争が過熱するから避けるべきであるということは、あらかじめ私の通っていた予備校でも伝えられていました。2019年4月には、中央大学が新たに国際系学部を開設するように、2019年度も国際系学部の人気は続くと思われます。MARCHと関関同立の競争は更に激化するでしょう。
前年に倍率を減らした早稲田大学の国際教養学部は、前年度より志願者が増えるかもしれませんが、依然として最難関であるという印象は強いです。とすると、英語が得意な人は狙い目かもしれません。国際教養学部の配点は英語:国語:選択科目が85(+15→外部試験の分):50:50で、当然英語が重要になってきます。
たしかに、英語は相当の難易度です。英文の量は膨大で時間との闘いになりますし、日本語訳や英作文もあるので英語だけでなく、国語力も要求されます。少し得意なくらいでは太刀打ちできないでしょう。
(2018年度入試から、15点の配点が与えられていたリスニング試験が廃止されたことで対策の負担は減りましたが、その分を外部の試験団体が実施する「4技能試験」の得点が加算されることになり、試験を利用していない人は15点ビハインドで一般入試を受けなければならなくなったこともネックです)
しかし、国語と日本史はほかの学部より易しめでした。国語は、傾向が変わるかもしれないので言い切ることはできませんが、漢文が出た例がほとんどありませんので重要度が低いです。日本史は、英語の資料を読み取って設問に答える特殊な問題が出ますが、英文の解釈自体は問題なくできるレベルです。どちらも難問は少なく、高得点勝負になるので、やはり勝負は英語でしょう。
確かに早稲田大学は最難関私立大学ですが、国際教養学部においては、偏差値的には立教大学や青山学院大学、関西学院大学の国際系学部と変わりません。印象だけであきらめてしまうのは勿体ないかもしれませんね。
3位:法学部
(Photo by Wake Forest University SC…)
ここも意外に思われることでしょう。昔から早稲田は「政経・法・商」と呼ばれているように、多くの方が、政経に次ぐ看板学部だという認識を持っているのではないかと思います。しかし、昨年度の一般入試の倍率だけを見ると5.8倍。文系学部の中で国際教養学部に次いで低い倍率でした。割と盲点になっている学部だと思います。
とは言ってもやはり、受験する層のレベルがかなり高いから厳しいんじゃないの?という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
たしかに、法学部は東大受験者の併願も多く、英語も国語も重厚で難しい文章を出します。
ただ、日本史は早稲田の中では易しめです。奇問・難問が少なく、漢字の書き取り問題はやや難解なものも出ますが、法学部受験に適している国語が得意な方なら、書き取りも苦手ではないはずです。もともと早稲田大学の日本史は「カルトクイズ」と呼ばれるほど細かい問題が多く、教科書では到底立ち打ちできるものではありません。センター試験で満点近くをとる人間でも、対策をしていないと半分もとれないことが多々あります。私立大学の日本史はどこもこの傾向がありますが、早稲田の難易度は別格といっていいでしょう。
しかし、この学部の日本史は他の私立大学の問題と親和性があり、用語集の範囲である程度の対応ができます。また、過去に早稲田大学のほかの学部で出題された問題もよく出ます。もちろんほかの学部にも言えることですが、差をつけやすいのは書き取りをさせるこの学部です。例えば、2012年の法学部入試では「陶邑(すえむら)窯跡群」の「陶邑」を記述させました。(この年度は特別難しく、私も正答率25/40でした)。多くの人は名前すら聞いたことのない単語だと思います。しかし、過去に他学部で、選択肢としてこの「陶邑窯跡群」は出題されていたことがありました。
(Photo by ELSA International)
例えば、2003年の商学部では「大阪府南部にある陶邑窯跡群は須恵器の代表的な生産地であった。」と選択肢にありますし、2006年の教育学部でも「大阪府南部の陶邑から窯跡群が発掘され、この地が須恵器の大生産地であったことが判明した。」と出題されました。同じような問題ですよね?陶邑窯跡群は早稲田の好きなワードなのです!
このように、早稲田大学の日本史は同じような問題を使いまわす傾向があります。多くの人が得点できない問題を正解できたら大きなアドバンテージになりますよね。過去問演習の際に、選択肢の中に聞いたことのない用語を見つけたら、参考書やノートにメモして覚えてしまいましょう。過去問の復習は必ずしてください。
つまり、法学部の日本史は、早稲田大学のいろんな学部の過去問を繰り返し解くことで得点率を上げやすい学部なのです。私の法学部の過去問演習は8割前後で安定していました(英語は半分もいきませんでしたが)。また、配点が英語60:国語50:選択科目40と一番低く、ある程度失敗しても尾を引かないのも魅力です。
後述の社会科学部や商学部では、用語集の範囲外から出る問題も多く、駿台の青本で酷評されることもありますが、この学部は過去問演習の成果が現れやすいです。
もうひとつ根拠があります。私は昨年、某難関私立大学専門の予備校に通っていたのですが、そこが塾内の通信で発表した2017年度における合格率50%になる3教科平均偏差値が早稲田の中では低めだったのです。政治経済学部の68.5を筆頭に社会科学部68、商学部が67.5で続きますが、法学部は教育学部、国際教養学部と同じで65.5でした。母体は河合塾より少ないですが、塾生3000人以上の統計ではあるのでそれなりに信憑性はあります。ちなみに戸山キャンパスの文学部は65.5、文化構想学部は66.5。所沢キャンパスの人間科学部は64.5、スポーツ科学部は61程度(小論文があるので特殊)でした。
東大の受け皿としてのイメージに反して、私立大学に特化した対策が得点に結びつきやすい学部なので、英語と国語が得意な方は前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
想像よりも難しい、気を付けるべき学部――社会科学部・商学部
(Photo by B Lucava)
最後に、大きなお世話かもしれませんが、地方から受験生するみなさんに経験者として注意を喚起します。早稲田大学では、複数学部の受験をする方が多いです。少しでも合格する可能性があるならばたくさん受けた方がいいと思います。浪人することを思えば安い出費です。親を頑張って説得してください。
ただし、社会科学部と商学部の出願には注意しなければなりません。私の経験上、この2学部をチャンスと思う受験生は多いです。しかし、これらの学部は前出の予備校算出の合格者平均偏差値がそれぞれ68、67.5だったことからも、実際にはみなさんの認識よりもはるかに入りにくい学部です。入りやすそうという認識の人が多いからこそ、どちらも一般入試の倍率が10倍を軽く超えるのではないでしょうか。
倍率は、一般的に、高ければ高いほど紛れが起こりにくくなります。つまり、先ほど述べた3つの学部は、偏差値的には少し足りなくても、早稲田に特化した対策をしていたら逆転合格があり得る学部です。しかし、倍率が10倍を超える社会科学部や、商学部はそれだけ記念受験勢の逆転合格が厳しいのです。社会科学部は全て問題がマーク式のことから、「ロト6」と呼ばれ、運で受かる人が多い印象ですが、運だけでは受かり得ないことは早大生YouTuberのバンカラジオさんの「えんぴつ転がしで早稲田受かるまで帰れまてん!」(https://youtu.be/NX0MC-nfWOM)からもお分かりいただけると思います。
社会科学部
(Photo by Brain Solis)
社会科学部は未だに夜間学部の名残を思わせるためか、はたまた合格最低点が低いためか、チャンスがあると思い受験する受験生が非常に多いです。一昨年、まだ私が地元の兵庫県丹波市の塾にいる時に、予備校の講師が「早稲田に入るなら社学が狙い目」だとおっしゃっていました。教師ですら、関東圏にいないと古い認識を持っている人が多いです。非常に学力が高い生徒でさえ、「社学がチャンス」と思っていました。ほかの地方でも、学校の先生や塾の講師がそういう認識を持っており、生徒に出願を勧めたようなケースが多々あるのではないでしょうか…。当時の河合塾の偏差値はすでに67.5でした。今はもう政経と並ぶ70で、看板クラスの偏差値を持つ学部です。
確かに、2010年前後の問題はほかの学部よりも楽で、私も日本史の過去問でコンスタントに8割をとれていました。しかし、近年の歴史問題は明らかに毛色が変わりました。5つの選択肢のうち2つを選択させる問題が多く、いずれもかなりの難問揃いです。
例えば2017年には長屋王が氷を作っていたかどうかという内容の問題が出て、早稲田の研究をろくにせず、記念受験で受けた当時の私は卒倒しかけました。教科書では太刀打ちできませんよね。ここ3年の過去問は比較的日本史が得意な私でも5割がやっとでした。また国語も簡単な年が多いので、高得点勝負になります。英語でどれだけ差をつけられるかでしょう。
商学部
(Photo by Shashi Bellamkonda)
商学部はほかの学部よりも英語が簡単に思える学部です。昨年通っていた京都の予備校でも、「商学部はチャンスだ」と考えて、受ける生徒が多かったですね。しかし、それは過去問をやっている人の多くが思うことです。かなりの倍率を誇る人気学部が、早稲田の中でも優しめの問題を出すということはどうなるでしょうか?当然、高得点勝負になり、得点調整で大きく点数を減らされることになります。こちらも見た目より合格できる可能性は低いでしょう。
また、あくまで私の体感ですが、商学部は社会科学部に次いで日本史の難しい学部でした。なんせ大問4の明治以降の流れを問う問題が細かすぎます。それでもって5つの選択史から2つを選択させるわけですから、過去問をやっていても10問中3~4問ほどしか合わないことが多く、全問不正解の時もありました。それに加え、大問6では戦後の問題が出ますが、これも相当な難問揃いですし、最後の記述問題も対策をしていないときついです。明治以降の流れを相当正確に把握しているか、国語・英語でどちらも7.5割~8割以上をとれる学力を有しているかでないと厳しいでしょう。記述の採点が厳しいという噂もあります。さすが、昔から早稲田は政経・法・商と言われるだけありますね。
次回は、偏差値と得点調整から、私なりに2019年度の入試難易度の分析をしてみます。
(文/濱井正吾)