早稲田、同志社の受験生必見!28歳早大生の、偏差値と得点調整から考える次年度の難易度分析
(Photo by Chitaka Chou)
年も明けて、入試シーズンが本格的に近付いてきましたね。多くの受験生は、志望大学と自分の成績との間のギャップを埋めようと必死に努力していると思います。
前回、早稲田大学本キャンパスの入りやすい学部について分析する記事を書きましたが、今回もその続きで、私自身が重点的に受けた早稲田大学と同志社大学の偏差値と得点調整から、各大学の2019年度の入試難易度の分析をしていきます。
出願の時期も近付いており、気が気でないと思いますが、少しでもその参考になれば幸いです。
偏差値を逆手に取ろう
(Photo by Rodrigo Soldon Souza)
模試の受験者数からいって、もっとも正確に現時点での実力を教えてくれるのは、河合塾の模試でしょう。そして、その全統模試の膨大な受験者数から割り出した、2.5刻みの偏差値表は信憑性がとても高いです。
ただし、この偏差値表を参考にするのはあなただけではありません。全国のライバル達が自分の実力と照らし合わせて参考にしているものなのです。数値を考慮した上で、「ほかの受験生はこう考えるだろう、だから自分はそれを逆手に取る!」という考え方が重要だと思います。
昨年、私は河合塾の全統模試の第1回と第2回を受けました。第1回は惨憺たるものでほとんどE判定でしたが、第2回は3教科合わせての偏差値が69.7でした。
第一志望の文学部のボーダー偏差値は67.5だったのでC判定でしたが、第三志望の教育学部国語国文学科は62.5だったのでA判定でした。今までA判定どころかC判定すら一度もとったことがなかった私には、にわかには信じられない結果でした。嬉しかったですし、自信にもなりました。
ただ、判定ほど油断はできないとも思いました。
A判定の出た教育学部は早稲田大学で一番多くの学科を有し、その学科ごとに偏差値が出る学部です。昨年の偏差値を見てみると、文系の学科の偏差値はほとんど65でしたが、私の志望していた国語国文学科だけが62.5でした。
各学科の合格最低点を見ても、本当に2.5もの学力差が生じるとは考えづらいことです。英語英文学科の合格最低点と比較しても1点ほどの差しかないのに偏差値は2.5もの差がある。これが河合塾発表の偏差値の厄介なところでしょう。まずいことだと私は考えました。厳しい競争を回避しようとした層が、大挙して国語国文学科に出願すると思ったからです。今年もそうですが、都市部の中堅以上の私立大学はどこも、文部省が地方に学生を残すために、大学への助成金を制限し始めました。その都合で、私立大学はどこも大幅に入学者を減らし、難化傾向にありました。
2016年までも数年間にわたり、国語国文学科の偏差値は62.5で据え置きでした。しかし、合格最低点はずっと175点満点中、104点前後で推移しており、2016年も104.95点でした。ところが前述の助成金問題による難化で、2017年には109.45点と、5.50点も合格最低点が上がりました。2016年度と比較すると、受験者数が400人ほど増え、合格者は40人ほど減りました。倍率は5.3倍から7.8倍とジャンプアップしています。それにも関わらず、偏差値は据え置きのままです。つまり、この偏差値62.5は限りなく65に近い62.5と言えるでしょう。
したがって、当時の私は、2018年度の入試も志願者の増加は避けられないと感じていました。表面上の偏差値だけを見れば、国語国文学科は入りやすそうな学部ですから。結局、当初の目論見どおり、2018年度も受験者数は150人ほど増えて合格者数は20人ほど減らされました。倍率も9.1倍となり、偏差値も2018年度の最終入試結果を受けて65に上がりました。
偏差値による志願者の増減は、関西私学の雄、同志社大学でも同様に起こりました。
河合塾の公表偏差値が高かった学部学科の受験者数はほぼ横ばいか微減して、偏差値が据え置きか下がる学部が多かったのに対し、低かったほとんどの学部学科の受験者数は増加し、偏差値は軒並み上がりました。私は同志社大学は4回受けて3回受かりましたが、唯一落ちた学部は、河合塾が公表していた偏差値が55で、比較的低かった文化情報学部でした。私が一番行きたかった文学部の国文学科は個別日程で60、全学部日程で62.5でしたが、最終入試結果を受けてどちらも60になりました。文学部はどちらの日程も合格しましたが、55だった文化情報学部個別日程も偏差値が5も上昇して60になり、国文学科と同じになってしまったのです。合格最低点に至っては、2017年度は30点ほどの差があったのに国文学科と逆転してしまいました。
他学部に目を向けると、社会学部の社会福祉学科は全学部日程の偏差値が10もあがり、52.5から62.5になっています。2017年度の志願者は112人でしたが、227人と倍増しました。最低合格点も、40点程度上がっています。
おそらく、「52.5」という偏差値を見て、大挙して志願した層が多いのでしょう。ここまで急上昇するケースはごくまれであることを考慮しても、いかに河合塾の偏差値を多くの人が信用しているかが伺えます。
これらの例から、偏差値の表面だけ見て出願するのがいかに危険かということがわかりますね。
合格最低点は過去3年分を見よう
(Photo by Zoe Zachary)
前の項目では、多くの受験生が河合塾の偏差値表を参考にしていることをお伝えしました。実際に、私が今までに通ったことのある予備校はいずれも、その年の河合塾の入試難易予想一覧表のコピーを置いていました。母数の多い河合塾の偏差値は、予備校でも信憑性があると採用されているのです。
しかし、ここに置かれている偏差値は1年分であることが多いです。前年度の偏差値表は無関係なデータであるとみなされるのか、いずれの予備校でも置いてありませんでした。私は、正確な偏差値分析をするならば、昨年度、一昨年度のデータも見て検討するほうが良いと思います。しかし、困ったことに上記のサイトではもう過去の偏差値は確認できません。打つ手はないのでしょうか……いえ、あります。掲載されている過去3年分の合格最低点を見ましょう。
試しに、合格最低点を使った分析をしてみましょう。先ほど、同志社大学の偏差値が大きく変動したことを述べましたが、来年もその傾向が続くとは私は考えていません。偏差値が5上がった文化情報学部や、10上がった社会科学部の社会福祉学科は、来年は下落するものと考えています。
これらの学部・学科は合格最低点が一時的に高くなっていますが、過去3年分の合格最低点(上記のリンクで確認できます)は、いずれもほかの学部や学科に比べても低めの水準です。つまり、例年は不人気な傾向があるのです。
こうしたデータから、今年同志社大学にどうしても入りたい方は全学部で社会福祉学科、個別で文化情報学部、安定して最低点の低い神学部を受けるのが良いのではないでしょうか。特に社会福祉学科はおすすめです。もともと福祉関係の学部はどこの大学でも人気がなく、ここまで偏差値が高い例はなかなかありません。多くの受験生は2017年の136人から78名に減少し、偏差値も福祉学科より低い60である産業関係学科に出願するでしょうからね(それにしても、合格最低点は産業関係学科のほうが高いのに、偏差値が2.5違うのは不思議ですね)。穴場だと思います。
早稲田大学の受験でもこの方法は使えます。
例えば、教育学部では多様な学科があり、自分の能力を分析することで、入りやすい学科を見極めやすいと前の記事でもお伝えしました。
前回の記事では、偏差値65の初等教育学専攻より、今年偏差値67.5に上がった生涯教育専修を勧めていましたが、その根拠も、偏差値から受験生の出願数が変わることが想像できるからです。
生涯教育専修の合格最低点は、2018年が94.495点、2017年が93.95点とまあまあの水準を保っており、今年河合偏差値が67.5に上昇しました。
今年度の入試で、国語や英語で1.5倍の配点がある学科を除けば、文系学科で一番合格最低点が低かったのは初等教育学専攻の91.745点でした。2017年度も90.45点と一番低く、偏差値は今年も65で据え置きのままでした。
どうしても早稲田に入りたい受験生は表面上の偏差値65だけを見て、合格最低点が低い初等教育学に出願しようとするはずです。偏差値67.5の生涯教育学専修は避けるでしょう。
しかし、2016年度の最低合格点を見ると、初等教育学専修が94.45点で、生涯教育学専修は88.45点でした。実は生涯教育専修は、数年前には偏差値が60に下落したこともあり、比較的穴場である時期がありました(翌年には65に戻りましたが)。そのような上下の激しい学科が今年は偏差値が67.5に上昇したわけです。
今年も、表面上の偏差値は67.5でも、ほかの67.5の学科に比べれば合格最低点は低めです。生涯教育学専修は、もともと初等教育学専攻を除いたほかの学科よりも、毎年合格最低点が低めであるという傾向があります。私の予想では生涯教育の出願者は横ばいか減少、初等教育は増えると思っています。合格最低点も逆転するのではないでしょうか。
最後に決めるのは自分ですが、私の考えに説得力があると思った方は、生涯教育学専攻を検討してみてくださいね。
得点調整を考慮しよう
(Photo by duvsbefilmoc)
このように、合格最低点を分析するのも大事ですが、多くの大学が得点調整を行っているということも考慮しなければなりません。
私が受けた早稲田教育学部国語国文学科は英語50、国語75、歴史50の175点満点です。試験終了後に自己採点をしてみると、英語62%、国語80%、日本史73%で、合計が128点でした。今年の国語国文学科は合格最低点が112.245点でしたので、一見余裕で合格に思えるかもしれません。
しかし、実際はギリギリでしょう。早稲田には基準非公表の得点調整があり、取った点数から10点~20点ほど引かれます。一般的に、平均点が高いほど多くの点数が引かれる傾向があるようです。例えば、私は人間科学部も受験して、例年なら合格ラインであろう計103点(自己採点)をとりました。しかし、問題が簡単で平均点が高かったため、20点引かれて合格点に6点ほど及びませんでした。
ただ、得点調整は平均より高い点数をとるほど、点数が引かれない傾向がありますし、上がることもあるくらいです。2012年に教育学部国語国文学科を受けた人の成績開示がネット上にあがっていますが、素点40のこの人は60.996点(国語国文学科なので1.5倍した後の数値)と点数が僅かに増えています。何かで失敗しても、カバーできる科目があれば心強いですね。
同志社大学も同様に、英語と国語は調整されませんが、選択科目で調整がされます。私は日本史選択でしたが、自己採点で132/150、133/150と9割近く得点していた文学部の全学部・個別日程でそれぞれ115点、119点と15点前後下げられました。
どちらも合格最低点だけを見て「70~75%くらいとれたら受かる」ではいけません。少し上の点数をとれるように気をつけて演習しましょう。
受験生へメッセージ!
(Photo by Huanglin Yuan)
私立大学の入試本番まであと残りわずかとなりました。大勢の方が最悪のケースを想定し、怖くてたまらない時期だと思います。
受験ではわずかな差が人生を変えることが往々にしてあります。補欠で不合格になって、「あの時あともう少し頑張っておけば……。」と後悔しても後の祭りです。結果はどうあれ、受験に向けて妥協せず、精一杯努力したという経験はこの先の人生にも大きな影響を及ぼすでしょう。
私が受験で一番得たかったものは、社会で生かせる学歴や教養もそうですが、自己肯定感でした。今まで私は、親や親戚から褒められることが少なく、自分に価値を見出せなかったので、どこかで頑張らなければ、一生自分自身を卑下して生きなければならないと思ったために再受験を決意したのです。2年半の受験勉強をやり切ったことは、生きていく上で大きな自信になりました。
皆さんもぜひ、終了まで全力で走り切ってください。そして、どうか受験が終わったら、自分で自分を褒めてあげてください。
皆さんとキャンパスでお会いできることを祈っております!
(文/濱井正吾)