20年前に制作された映画って本当!?現代の社会だからこそ突き刺さる90年代映画3選
(Photo by AraiGodai)
平成最後の年がいよいよやってきます。テストも終わり、ゆっくりと休んでいる人もいるのでは。
そんな時間があるときこそ約20年前、現在大学で青春を謳歌している学生たちが生まれた年代である90年代に生み出された映画を鑑賞してみてはどうでしょうか。
昔の映画を観てみると、20年前に制作されたとは思えない!まるで未来を予想していたかのようにしか思えない!と感じさせられる映画があります。
そこで、この半年で50本以上の洋画を観たGaku-yomu編集部員が、現代社会に生きる若者でも楽しんで見ることができる映画を3つご紹介します。
もし自分の世界が「つくりもの」だったら?『トゥルーマン・ショー』
(画像はamazonより)
離島・シーヘブンで保険会社に勤めるトゥルーマン・バーバンクは笑顔が素敵な好青年。
彼は水恐怖症のため、生まれて一度も島から出たことがなく、小さな島で妻と二人で仲睦まじく暮らしていた。
しかし、ある男性との出会いがキッカケでトゥルーマンは自分の周囲を不審に感じ始める。
実は、トゥルーマンは生まれてから彼の生活の全てを24時間撮影されていて、世界220カ国で放送されているリアリティ番組『トゥルーマン・ショー』の主人公だった!
彼が住む島も、空に見える太陽も、天気の変化も全て人工的な「つくりもの」。そして何よりも彼の家族や友人は全て俳優だった。
しかし、そんなことは知る由もないトゥルーマン。異変を感じてしまった彼がいかにして「真実」と向き合うのかー。
1998年、今から21年前に制作されたこの映画。
「もし、自分の友人が「本当の」友人でなかったら?」「もし、あなたが見ているその景色が人工的に作り上げられたものだったら?」
あなたは、目の前にあるものを疑ったことがありますか?
「24時間も1人のお兄さん(おじさん?)の日常を何十年も観続けて、視聴者は何が面白いんだよ!」とツッコミたくなる気持ちもありますが、この映画の人々はみんなこのリアリティ番組にぞっこんな様子。
この映画を観ると、自分が見ている世界って作り上げられた虚像なんじゃないかなと疑うようになってしまいます。
先日、俳優・田中圭の24時間生放送番組が放送されました。今、この記事を読んでいる人の中にも観ていた人がいたのでは。
こうしてみると、「1人の人物に長時間密着する」という番組が近年増えている気がします。近い将来、『トゥルーマン・ショー』のような番組が本当に制作されてしまうかも。
もしかすると、あなたがいるその世界は誰かに作られた「つくりもの」の世界かもしれませんよ…?
遺伝子操作問題を示唆『ガタカ』
(画像はamazonより)
遺伝子操作によって、優れた知能と体力、外見を持った「適正者」が存在する近未来。優れている「適正者」は、教育面でも社会的地位においても優位だった。一方で自然妊娠で生まれた「不適任者」たちは「適正者」に劣る存在だった。
主人公・ヴィンセントは、両親の軽はずみな性交渉によって生まれた「不適任者」。そんな彼は、宇宙飛行士になることが幼いころからの夢だった。ある日、ヴィンセントは「適正者」である元・水泳選手、ジェローム・モローの生体IDを手に入れる。こうしてヴィンセントはジェロームになりすまし、晴れて宇宙局「ガタカ」の局員になる。
そして、ついに宇宙へ行く夢が叶おうとしたとき、上司の殺人事件が起こる。この事件によってヴィンセントは危機に陥ってしまう——。
1997年、今から22年前にアメリカで制作されたSF映画。
『遺伝子』。IPS細胞など近年研究が進んでいますよね。科学技術が進みすぎて、この物語のように遺伝子操作によって優秀な人類が生まれてくるのが当たり前という未来はそう遠くないかもしれません。
まるで、いずれ来るであろう未来を示唆しているかのように思えます。
「不適正者」として劣って生まれてしまったヴィンセントですが、夢を諦めず、「適正者」に負けないくらい努力する姿に心が打たれます。ヴィンセントは適正者のように優れた細胞を持っていないため、他の人よりも能力は劣っています。しかし、それを努力することで補おうとするのです。そのひたむきな姿に「人間優劣って関係ない。その人次第だ」ということが伝わってきます。
さらに、「適正者」でありながら夢を諦めざるを得なかったジェロームにも注目。ヴィンセントとは違った彼の苦悩が描かれています。しかも、この役を演じたのは映画『ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生』で若き日のダンブルドア先生を演じたジュード・ロウ!22年前の彼の演技は必見です。
とにかく映像・俳優、ストーリー、全てが美しいです。
そして、脚本はなんと先ほど紹介した『トュルーマン・ショー』を書いた人と同じアンドリュー・ニコル。
彼の想像力といいますか、未来に向けるまなざしに圧倒されてしまいます。
夢と希望忘れていない?『ショーシャンクの空に』
(画像はamazonより)
1947年、銀行の副頭取を務めるアンディは妻とその愛人を射殺した罪に問われる。無実を訴えるものの、終身刑の判決が下り、ショーシャンク刑務所へ服役することに。
刑務所で孤立していたアンディは、長年服役している囚人・レッドと親しくなる。刑務官からの罰、囚人同士の暴力に耐えぬくアンディ。
やがて、アンディは自分の能力を生かし、刑務官たちの遺産相続の解決策を提案するようになる。
服役して数十年経ったとき、服役してきたある若い男の情報により長年謎のままだった真実が明らかになる。
この真実を知ったとき、アンディがとった行動は——?
1994年に制作された作品。前述した2つの作品と比べると少し古いですね。
劣悪で絶望しかない獄中生活の中で、アンディは希望を持ちます。
「そんなものを持っても意味がない」という仲間たちに希望を持つことの大切さを諭すアンディ。その信念が次第に周りの囚人たちを変えていきます。
「心の豊かさを失ってはいけない」「必死に生きるか、必死に死ぬか」と数々の心打たれる名言も続出。
自分は、今の人生を必死に生きているのか。アンディの強い生き方、そしてその信念には感服です。
また、刑務所での囚人たちの生活がセキララに描かれています。
「囚人は刑務所から出るのが幸せ」と考えがちだけど、刑務所を出てからの囚人たちの苦労も描かれています。
ラストは衝撃と感動が体を走ります。ハンカチをお忘れなきよう…。
ちなみにロックバンドのMr.childrenの『one two three』という歌にもフレーズとして入っています。今も昔も全ての人の心が揺さぶられる作品なんですね。
毎年、多くの名作映画が生まれています。流行りのイマドキの映画を観るのもいいですが、たまには自分が生まれた時代の映画を観てみてはどうでしょうか?新たな発見や衝撃があるかもしれません。
(文/ひなた)