【いま、私達にできること。】”実は自分事”なテーマを熱く語った9時間~Youth Envisions “LIVE”~
──コロナで、多くの夢や「普通」が失われた。
キャンパス閉鎖、オンライン授業、東京オリンピック延期、サークル活動禁止……。誰にとっても未曾有の事態が加速しており、閉塞感や分断もひしひしと感じる毎日。
自粛開始から約半年間、「この1年は空白だ」と、そう思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、去る2020年10月4日(日)、渋谷スクランブルスクエアにてそんな鬱々とした空気を打ち壊す熱いスピーチ・対談イベントが開催されました!!
その名も「Youth Envisions “LIVE”」。あらゆるセミナーや講演会がオンラインへと続々移行される中、スピーカー同士が一堂に会したこのイベントは”異色”と言っても過言ではないでしょう。日頃から国際問題や日本の社会問題に対して提言を行っている大学生9名が集結しスピーチを行ったのち、脳科学者・茂木健一郎先生との対談や学生同士の対談が行われ、白熱した議論が展開されました。
“グローバルイベントという、世界中で共有された空間の可能性”。
“その可能性をあきらめない、志ある学生達の可能性”。
この記事では、そんなアツい大学生たちのリアルを、現場目線でお届けします。
※当日は、検温・消毒・対談時のマスク着用等、新型コロナウイルス感染症対策を万全にした上で実施されました。
Youth Envisions 2020 -Speech Event-って?
イベント名:Youth Envisions 2020 -Speech Event-
開催団体:慶應義塾大学国際関係会、学生団体おりがみ
開催日時:2020年10月4日(日)
場所:渋谷スクランブルスクエア15F
開催概要:① YE2020 学生スピーカー、並びにゲストのスピーチ
② 茂木健一郎氏を交えてのスピーカー対談(ZoomでLIVE配信)
ーオリンピック延期を、どうとらえるかー
“2020年に日本で開催される予定であったグローバルイベント、東京オリンピック・パラリンピックが新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期の方向に大きく舵が切られた。大人数が一箇所に集まり開催するイベントが自粛される中、オリンピック・パラリンピックをはじめとする世界的な緊急事態において、開催国である日本がどうあるべきか、そしてそこに若者がどう関わるべきか。
学生ならではの視点を持って、今後のグローバルイベントにインパクトを与えたい。
そんな思いを持ってYouthEnvisionは立ち上がりました。
これを成すにあたり、学生のスピーカーを募集し、著名ゲストをお招いた上で世界中の学生と「共時性」を持つグローバルイベントとその開催国はどうあるべきかを問います。
さぁ、あなたは2020年、学生として世界に向けて何を問いかけますか?”
(出典:Youth Envisions公式サイトより)
Youth Envisionsは、2019年10月に発足したばかりの新しい学生団体です。立ち上がったきっかけは、当初開催予定だった東京オリンピックへの「学生の関わり方」に疑問を持ったこと。
学生がオリンピックに関わる手段といえばボランティアというただ一つのみ。「でも、それで本当に良いのだろうか?」と、彼らは強く問いました。
学生ボランティアは大学からも募集がかかりましたよね。でも大学2年生にとっては「来年就活あるしな…。」大学3年生にとっては「もう来年は就活本格化するしムリだな…。」大学4年生は社会人になるため参加は不可能。となれば、チャンスがあるのは1年生だけ。
大学生はとても複雑な位置にいます。
そこで、学生としてできることを模索した結果、彼らは「若者の意見を発信する、スピーチイベントを開催しよう」という1つの結論へ辿り着きます。
しかし、決意を胸に立ち上がった瞬間、届いたのは東京オリンピックの延期の知らせ。
「今年の活動は中止して、来年に懸けようか」といった声もあったといいます。
でも、最終的に決断したのは「活動を継続する」ことでした。その記念すべき歴史の第一歩が、このスピーチイベント。代表の木村勇人さんは「これをスタート地点にして、これから更に活動を展開していく」と語ります。
「コロナ禍での学生生活って実際どうするべきなんだろうね」──脳科学者・茂木健一郎さんと学生3人の対談から見るリアル
午前9時から12時まで行われた学生一人一人のスピーチのあと、午後のパートはまず茂木健一郎さんとの対談。茂木さんの「カメラ映ってる?(笑)」といった運営スタッフとの和やかなやり取りと客席の大きな笑い声で、終始柔らかい雰囲気です。
学生スピーカーは木村勇人さん、深澤文さん、徳永大貴さんの3人。ここで少しだけプロフィール紹介に移りましょう。
木村勇人さん(慶應義塾大学3年)
慶應義塾大学法学部政治学科3年生。1934年以来続く日米間の国際会議「日米学生会議」の第72回実行委員長であり、Youth Envisionsの代表でもあります。
深澤文さん(千葉大学4年)
千葉大学文学部4年生。学生団体「おりがみ」副代表であり、団体文化チームのリーダーとして、”半世紀ぶり”となる上野・弁天堂広場での盆踊り復活プロジェクト「うえの夏祭り」の実行委員長でもあります。このお祭りは学生主体で唯一、五輪文化プログラムとして東京都から公認を受けています。
徳永大貴さん(九州大学4年)
九州大学4年生。9歳のころから「宇宙飛行士」が夢で、留学・海外インターン・宇宙イベント開催・ヒッチハイク・NASA研究室見学など、自分自身にできること全てに取り組んでいます。
(左からYouth Envisions代表・木村勇人さん、深澤文さん、徳永大貴さん、茂木健一郎さん)
学びの将来はどのようになっていくのか。「『若者は未来』は本当か」というテーマで、それぞれの関心から出発し、トピックを話し合いました。
中でもハイライトは「オンラインな大学生活」を話し合ったパート。
茂木さんの「オンライン授業って(大学生からしたら)実際どう? 具体的にどうしたらいいとか提案ってある?こんな状況下で学生さんたち大丈夫なのかな」という問いかけから始まり、3人ともオンラインは「苦しい」「課題はあると思う」としながらも、それぞれの意見を展開。
徳永さん:一方通行だなっていうのは感じます。授業とかに行くにしても、オンラインだと”横での接点”がなくて心理的には良くはないな、と。
さらには、人との繋がりが絶たれ、オンラインに移行したことによって逆に大学の価値を問い直すきっかけになったという声も。また徳永さんは「(宇宙飛行士になるのが夢だから)ものを作る人のことを思い浮かべながら授業を受けている。そういう捉え方をするとオンラインも乗り越えていける」と、夢に絡めて前向きな考えを話していました。
木村さん:日米学生会議をオンラインで11日間やったんですけど、そこで熱く語り合うことができたんです。なので、「オンラインでもそこまで出来るんだ」っていう感動はありました。オンラインでも時間をそれなりに過ごせるんだって。
茂木さん:ちなみに大学っていうものを”サービス”として消費している感覚はある? 私立(ここではICUの例)だと年間150万円くらいでしょ。そんなお金払うサービスって他にないじゃない。
徳永さん:個人ベースで授業を対面かオンラインかを選択できるようになったら理想ですよね。やっぱり現状、インタラクティブな授業ができていないと思うので…。そもそも学問って贅沢品じゃないですか。自分が行きたくて行ってる、みたいな。
茂木さん:「ハングリー精神がない」とか大人は良く言うけどその辺りはどう? 若者には不満がないからハングリー精神がなくなる、ってネットではよく言われてるけど。
深澤さん:私は大学に行くことによってハングリー精神が生まれると思っていて。周囲が居るからこそ「お前勉強しろよ」って暗黙に言われ続けて、私が未熟であることを実感させてくれる機関であり機会なんですよね。
また、Zoomでのリアルタイム配信も行われていたため、視聴者からの質問に答える場面も。『茂木さんの思う理想の大学とは何ですか?』という質問が投げられました。
茂木さん:大学ではロマンチック・アイロニーみたいに、ぼーっとしている時間が必要だと思うんだよね。「ぶらぶらする」っていう。何の目的もなく。それが大学生活で一番大切なことの1つだと思う。
新型コロナウイルスの影響のみを考え、「対面にするのか・しないのか」という議論に終始しがちな昨今。そもそもその両極端な考え方は正しいのか、もっと「大学に通う意味」を考えるべきではないのかという一石を投じる対談でした。
「前提から壊しちゃったけど(笑)、オリンピック開催国の日本が”変わるべきこと”は何だろう?」──対談第二部
1時間弱の対談第1部はあっという間に終了。ここからは学生スピーカー同士の対談へとシフトします。先ほどのように緊張感のある表情を浮かべながらも、会場自体の雰囲気はとても和やかです。
会場にはカフェがすぐ隣に併設されているので、皆さん思い思いにドリンクを買ったりフードを食べてみたり……対談のバックでもカフェミュージックが流れており、聴いている方もあまり身構えずにリラックスして聴けます。
ここで第二部のメンバーをご紹介。今回も個性豊かなメンバーばかりです。
都築則彦さん(千葉大学大学院2年)
千葉大学大学院博士課程2年生。日本最大の学生オリパラ団体「おりがみ」設立者・代表。
「国境のない宇宙に炎を飛ばす」Earth Light Project を創設、150人を超える学生・社会人メンバーを集め、クラウドファンディングで1060万円の調達を達成しました。
Gaku-yomuでも取材をさせて頂きました!
▶【それでも、夢に火を灯せ】宇宙に挑むEarth Light Projectを創る、学生たちの”キセキ”。
大井雄麿さん(慶應義塾大学2年)
慶應義塾大学2年生。「日米学生会議」73期生。大学では創立127年、日本最大規模のEnglish Speaking Society (ESS)に所属。親戚の影響もあり、幼い頃から外交や政治問題に対して強い関心を持っている方です。
「日本の常識は世界の非常識」をテーマとしたスピーチを行いました。
李俊虎さん(慶應義塾大学3年)
慶應義塾大学3年生。Earth Light Projectに所属。学生の為の国際ビジネスコンテスト団体 “OVAL JAPAN”2019年度の代表を務めました。
日中韓3か国のアイデンティティに根差し、米国留学を経験した身としてスピーチを行いました。
(左から都築則彦さん、大井雄麿さん、李俊虎さん)
第二部のテーマは「(オリンピックの)開催国日本に今足りないものは何か」。
……が、開口一番、都築さんからこんな発言が。
都築さん:個人的には「開催国日本に足りないものは何か」って言うと、「国」という立場になると、どうしてもオリンピックの開催可否だけに絞られがちだと思うんですよ。でも、オリンピックを開催する意義はそもそも何だろう、とかをもう少し呈示していかないと、”コロナだけで”開催が判断されてしまうと思ってます。
なのですみませんいきなり前提ぶっ壊すんですけど(笑)、ここの対談では「開催国日本に生きる私たちに足りないものとは」というテーマで話し合いたいと思うんですけど、どうでしょう?
李さん:その通りだと思うんですが、たぶん僕が一番オリンピックに対して素人というか素人側から問いかけていく側なので……(笑)、まず教科書的な知識というか、そもそもオリンピックとは何かという点を、こう教えて頂きたいなと。
大井さん:(都築さんに対して)あ、お願いします。
会場:(爆笑)
都築さん:まさかの僕に回ってきた(笑)。
ディスカッションならではの味わいですが、お互いに得意とする分野の知識や見聞を教え合いながら話を深める、といった場面は一日を通してよく見られる光景でした! 都築さんから「そもそもオリンピックとは」について一通り説明。そこから話題が広がります。
李さん:話を聞く限りだと、ある意味オリンピックは平和の象徴だし、それ見て皆が元気になる構図も分かるんですが、スポーツって余裕のある人たちが集まって、グローバルエリートたちが集まってやるようなイメージがあって。
僕は、「何が盛り上がるんだろう」みたいな感覚が、”一般の人”からするとあるんだろうなって思いました。招致して喜ぶ理由がよく分からない。平和の象徴っていうのも一部の人が作った幻想なんじゃないの?みたいな……個人的意見ですけど。
都築さん:そういう外交とか国際関連のスペシャリストが……(大井さんの方を向く)
大井さん:いやいやいやいやそんなことは(笑)。ですが、開催国日本という点においては、「日本でやります」ということを前面に押し出すことで世界に対して日本への好意的な雰囲気を作る、親日ムードを国際社会に作るという点においてはメリットがあると思います。外国人観光客とか選手が来るなら経済的効果もある。だからこそ、開催決定時は色々言われてはいましたけど、僕は賛成できる立場だなと。
李さん:それについて思うのが、日本の場合ってクールジャパンとか「イケてる文化」をとりあえず欧米に広めていく姿勢があるじゃないですか。自分たちの軸がないまま、とりあえず海外に称賛されそうなものをカスタマイズして、その枠に自分たちも収まっていくみたいな。「対外的にアピールする」という意味で、その行為は本当に日本の本質的な文化なのか?と思います。
都築さん:あぁ、めちゃくちゃ分かる。日本は「バズりゃいい」みたいな文化あるよね。「〇〇だったら流行る」「〇〇だったら流行らない」みたいな。そうすると本質から外れて、誰かの評価軸にはまっていくことによって自分たちのアイデンティティを苦しめるってことだよね。
この流れから、本パートのハイライトである「日本文化」というトピックに。開催国日本として、どういった部分の日本文化を伝えていくべきなのか?また私達はどういう姿勢でいくべきなのか?を話します。
李さん:さっきと真逆な意見を言うんですけど、僕は日本国籍ではなくて、日中韓で複雑なところに居るんですよね。なので、ある意味日本がそういう状態の自分に似てるなって思っていて。「どこにも属さないし、でもどこも包容できるよ」みたいな。
日本もそういう風潮あるじゃないですか。「日本、本質的な部分を自分たちが分かっていない。海外の視線を気にし過ぎだ」みたいな。でも、「すべて受け入れている」ことを日本のアピールポイントにもできる。なのに「日本は日本らしくいなきゃだめだ」みたいな風潮が生まれてしまうのは何でだろうなって思います。あくまで僕の考えですけど。
それでは、アピールできる文化とは何なのか。それについて考えを深めます。
李さん:日本に住む一外国人としては、「別に今のままで良いのではないかな」と思います。
ただ一言付け加えるとしたら、僕は日本国籍ではないですけど日本語を結構理解していて、日本の「行間を読む」文化とかを分かっちゃっているからなんですけど、それは海外からするとどうなんだろうって思うことはあります。齟齬が生まれるかも、というか。
都築さん:「海外よりここが劣っているから日本はだめだ」みたいな考え方じゃもう駄目だよね。受容する文化をどう呈示していくのかっていうのが重要な議論になっていくんじゃないですかね。
また、「海外の方に日本文化を伝える際、どのように説明したら良いでしょうか」というZoom配信視聴者からの質問も。会場一同「良い質問!!!!」と湧き上がりながら、それぞれ答えていきます。
大井さん:やっぱり「外の視点」を持つのが良いんじゃないかと思います。日本の常識を基準とせず、両方を見ていられることというか、姿勢の確立が大事なのではないでしょうか。僕も中学3年生のときに窮屈さに疲れて(笑)、海外経験でパッと視界が広がったことが経験があるので。
李さん:僕も同意ですね! 出られるんだったら外には出た方が良いし、欲望に忠実になるというか。
オリンピック開催国としての文化の伝え方としても、「開催国日本の国民としてホストしなきゃいけないんだ!」とかじゃなくて、「自分たちはこういうことをしたいから、最高なものにするために貴方たちも付き合ってよ」って巻き込んでいく姿勢が一番大事なんじゃないかなと思います。
大井さん:今この瞬間に足りないものは、やっぱり開催国内外の盛り上がりで。対コロナでは仕方のないことですけれども、平和を作るための第一歩は「外を見ること」だと考えています。僕達が大事にしているものがあるように、海外の人たちも大事にしているものがある。お互いに尊重し合えば、最終的に共存とか平和に繋がるし、外を知る場としてオリンピックは非常に有効な場だと思いますね。
「社会って本当に無関心?気づかないフリ?」「身近な人と教え合うことがゴール」──対談第三部
10分間の休憩時間を挟み、あっという間に第3セッションが始まります。
渋谷という立地からか、この時間帯にはふらっと立ち寄ってちょっと聞いていく、というようなラフな人も。
次のテーマは「社会は無関心なのか」。今回のスピーカーはこちらの3人。
都築政憲さん(千葉大学3年)
千葉大学3年生。学生団体「おりがみ」の研究開発部長であり、第1部の都築則彦さんとは兄弟。Earth Light Projectに所属しています。
自身が吃音症であることも踏まえながらスピーチや対談で語ります。
渡邊莉瑚さん(千葉大学4年)
千葉大学4年生。学生起業家を育成する“ボーダレスユースフェロー” 1期候補生で、現在アフリカ南部にあるレソト王国にてプロジェクト(クラウドファンディング)を実施中。
タンザニア、南アフリカ、セブのスラム街など「現地に実際に足を運び、行動する」ことを大切にしており、午前のスピーチでも「共感力」をテーマに発表していました。
布廣幸太郎さん(上智大学1年)
上智大学1年生。上智大学を拠点に活動するオリパラ団体「Go Beyond」に所属しています。
高校時代は平和集会の企画・運営にも取り組んでおり、幼い時から車椅子を利用している経験から、心のバリアフリーや共生の在り方について語ります。
(左から都築政憲さん、渡邊莉瑚さん、布廣幸太郎さん)
誰から話し始めるかをじゃんけんで決める微笑ましい場面もありました(笑)。
さて、「今生きているこの社会は果たして無関心なのか」。そして、無関心であるとすれば何が原因・背景になっているのか。そんなことを話し合っていきます。
トップバッターは都築さん。”無関心”に関しては、知的障がい者への優生思想を感じた体験談と絡めながら。「皆さん優生思想*って知ってますかね」という問いかけから入ります。
(*優生思想=社会全体として遺伝的に優れた人間のみを残し、劣った人は排除すべきという考え方)
都築さん:誰でも優生思想って持ってるな、って思いまして。一概には言えない問題でありながらも、例えば仕事で言ったら”単純労働”みたいなカテゴリに収まってしまうのを「普通」だと思っていることにどこか気づかないことに社会問題を感じますね。
モデレーター:ありがとうございます。これを踏まえて、皆さんそれぞれの社会問題経験を教えて頂けますか?
布廣さん:多くの人は問題とすら思っていないと思うんですけど、「障がい者は社会的地位が低い」ということが当然だと思われすぎていて、そこに格差が生じる。それが僕が感じた社会問題ですね。
僕も当事者として、例えば街に出たとき親子の会話で、「何であの人は車椅子なの?」「あんまりジロジロ見ちゃだめだよ」というパターンは数えきれないほどありました。障がい者を見てはいけないもの、とするのがそもそも社会問題だとは感じています。
渡辺さん:私はお二人とは入口は違うのですが、1年の時タンザニアに行ったことで日本を客観視できて、社会問題があることに”気づく”ことができました。海外を見ることで、「日本もこういう問題があるんだ」と。
都築さん:「見えない障害」というのが多いんじゃないかなと思っています。障害をまず知る機会がなくて、例えばやっぱり特別支援学校との交流とかも少ないし……そのまま大人になってしまうことへの危機意識は感じますね。そもそも、教師に多様性が認められていないというか。
渡辺さん:私は教育システムに1つ問題があるのではないかと思っています。そもそも日本の教育って「聴く」のがメインで、自分で課題設定して答えを見つけるという教育があまりされていない。それが社会問題を認知しても解決しようとしに行かない原因なのではないでしょうか。
何も考えないというよりは、考えないことへの「動機付け」。
気づいていても自分は行動を起こせない、というパターンが多いのではという意見も。
布廣さん:「常識が動いていない」ことが大きな要因かなと僕は思っています。障がい者を可哀想なものと見なす常識は変わりつつあるけど、人々がそれに追い付いていないという現状があるから変わらないのかな、と。
ここでも視聴者から質問が来ていました。「障がい者の中にも助けを求めている人といない人が居るというのは分かるのですが、助けの必要な人が困らない社会を実現する方が大事なのではないでしょうか」。
都築さん:あー、なんかそれはめちゃくちゃ分かるかも……。
布廣さん:僕は「一人の人間であることを忘れない」ことが大事だと思っていますね。相手を「健常者」「障がい者」というカテゴリーにあてはめることを抜きにして、ただ「一人の人間」として扱う。だったら、親切にすることとかは当然のことですし。
渡辺さん:私は、「助けられたくない」「対等に扱ってほしい」というマインドを考えると、やっぱりその「対等」の定義のスタンダードって健常者寄りになっている、と思っちゃいますね……そうすると、そもそも「対等とは何か」ということをずっと考えていかないといけないのではないでしょうか。
「良い教育とは何か」を尋ねる質問にも、「深い質問!(笑)」と称賛し、「教育の専門家じゃないので分からないのですが…」と皆さん丁寧な前置きを置いた上で意見を展開。「難しいなあ」と言いながらも、「受動的な学びではなく、自分から動く、ような学びが必要」という総括を得られました。
渡辺さん:今までの受験とか、スマホで今調べればわかるような情報をインプットしていただけだったので、そう考えると「学び」ではなかったのかなあと。一生懸命たくさん覚えたけど、ただただ受験のための知識、という感じだったなと思います。
いまもう一度、「社会との向き合い方」を自分事として考える。小さなことから。

(最後に記念撮影。マスクは”撮影時のみ”外しています)
最後にスピーカーの方々一人一人にインタビューしたところ、どなたからも「普段はこういう機会が全く無いから、話せて嬉しかった」「もっと頑張らないと駄目だなって思いました!(笑)」といった声が上がっていました。
「国際問題」「社会問題」「共生」「ディスカッション」……というと、何となく堅いイメージがありますよね。でも、実はかなり私達にとって身近なものばかり。何気ない大学での日常会話で「そういえばさ、」と気軽に切り出しても良いものなんです。
ここまで読んで、「一人ひとりの学生がどんなことを話していたのか気になる!」という方は、ぜひ後日公開のYouTube Live(アーカイブ版)をご覧くださいね!◎
Youth Envisions 2020は、これからも今回のようなイベントを引き続き開催予定。様々な大学生の熱い思いを届けるために、ここから活動が本格スタートしていきます。興味のある方はぜひこちらからぜひ最新情報をチェックしてみてください!
(文/一年明日)