【自然に英語を身につける】BubbleJapan〜日本にいながら世界と繋がる参加型プロジェクト〜
「日本にいても英語で会話をしてみたい」
「海外との接点が欲しい……」
そう感じたことはないだろうか?
現在の日本では、英語のネイティブスピーカーと会話をする機会や、活発に英語を使うコミュニティはそれほど多くは存在しないだろう。
「漠然と英語を身につける願望はあるけれど、どうすれば良いか分からない……」という学生たちに対して立ち上げられたのが、「BubbleJapan」である。
「自分が持っている知識とツールを活かして、何かの解決のために役立ちたいという気持ちはずっと持っています。」
プロジェクトリーダーの酒井さんは、プロジェクト発足に関してそう述べた。
海外での生活経験を経て、日本での英語教育の内情を知った彼は、何か自分に出来ることはないかと模索を続ける。
今回は、その努力や英語を話す魅力について取材を行った。
BubbleJapanとは?
BubbleJapanは、日本の学生向けに、イマーシブな英会話環境をイベント形式で提供するプロジェクトである。高校生、日本への留学生と海外の大学生の参加者を中心に、ネイティブ話者と話す機会と海外の学生と交流する機会を提供し、日本と世界を繋げることを目標としている。
Bizjapanとは?
(Bizjapan公式サイトより/2021年4月25日現在)
Bizjapanとは、性別や国籍、大学に関係なく多種多様な人達が集うコミュニティである。
そこは一人一人がプロジェクトを立ち上げることの出来る、活気溢れた場所だ。
2011年に設立され、その後2017年にはNPO法人となり、多くのイベントやプログラムを成功させてきた。2020年度では“Because we love it.”のスローガンのもと、vegecommuだけではなく、フードロスから教育格差・バイク・本郷のスタートアップ・トークンエコノミーまで様々なテーマでプロジェクトが走り出した。
▷Bizjapan公式サイトはこちら
Gaku-yomuは前回、Bizjapanのプロジェクト“vegecommu””Spark Middle-East”への取材を行った。
▷vegecommu取材記事はこちら
▷Spark Middle-East取材記事はこちら
酒井駿さんプロフィール
NPO法人Bizjapan副代表。アメリカのデューク大学進学予定 (現在はギャップイヤー取得中)。
3歳から高校卒業までアメリカで育ったことをきっかけに、英語と英語学習に興味を持つ。
今回は、BubbleJapanプロジェクトリーダー酒井駿さんにオンラインでお話を伺った。
「英語を勉強として教えるのは難しい。僕自身がいたような、活発に会話が出来る環境作りをしたい」ー活動内容、発足のきっかけ
―まず、BubbleJapanの基本的な活動内容をお聞きしたいと思います。
酒井さん(以下、酒井):基本的な活動として、オンライン上のイベント開催とTwitterでの発信をしています。現在BubbleJapanで一緒にやっている6人は海外経験が豊富なので、それを活かしてアメリカとオーストラリアの英語の違いや、面白いフレーズ、東京にある誤った英語表現などをツイートしています。
―Twitterでの発信!面白いですね。ツイートを拝見したのですが、時々clubhouseも開催されている?
酒井:そうですね、zoomだと双方向のコミュニケーションが難しく感じたので、みんなで緩く会話をするという目的で、clubhouseでの活動も最近始めました。
―なぜBubbleJapanを立ち上げようと思ったのでしょうか?
酒井:僕自身が小さい頃からアメリカにいて、日本に帰国した際、友達から日本の英語教育ではあまり話す力が身に付かないということを聞いたんです。自分が英語を身に付けた環境はどのようなものだったかっていうのを考えた時に、積極的に英語を話す環境があって、英語を聞く機会が多かったなと思いました。
それで自分の英語や経験を活かして、そのような環境を作る活動が出来ないかと思い、このプロジェクトを始めました。僕は、英語を通して世界との繋がりが出来たので、英語を話せて良かったと思いますし、英語を話せるようになりたい多くの方々の役に立てればなと。
―「英語が話せて良かった」と仰いましたが、具体的にそのように感じたのは何故でしょうか?
酒井:英語を話せることによって、色々な国の方とコミュニケーション出来るっていうのがやはり大きいです。文化や考え方の違い、社会に出ていく上で必要なお互いの理解や社会問題を小さい頃から学ぶことが出来たので、良かったと思いました。
―様々な国の人との会話から価値観が広がり、自分もそのような活動がしたいと感じたんですね。
酒井:僕自身、全ての日本人が英語を話せる必要があると思っていなくて……。高校までは海外と接点がなくても、大学に入ったら海外留学をする機会が身近になったという話を聞くことが多いんです。逆に高校までの英語の授業では、ネイティブの様な発音をすると否定的な眼で見られたり、積極的に英語を学ぶ機会がないことが多いので、その中で英語を学びたい方々にとって良い環境を作りたいですね。これからオリンピックもありますし!
「イベントの軸として、“楽しい”という感触が欲しい。」ー初回のイベント開催から分かったこと、反省と改善
(1回目のイベントの際に用いられたスライドの表紙)
―イベントについてお話を伺いたいと思います。これまでに何回イベントを開催されましたか?
酒井:3回開催しました!基本的に1ヶ月かけて企画するので、2ヶ月に一回くらいのペースで開催しています。
―どのようなイベントなのでしょう?
酒井:中身は毎回異なりますが、1回目は「コロナと教育(正式名称は“Education x Covid”)」というテーマでした。最初にBizjapan側からプレゼンをしてから、その後ディスカッションに入ります。最後には参加者全員が双方向にコミュニケーションを取れるように会話する機会を設けて……そのようなイベントを現在はzoomで開催しています。
―「コロナと教育」ですね。それについて英語で話し合うという感じですか?
酒井:そうですね、30人くらい参加者を集いましたが、典型的なイベントだったな、という反省点があって、そこから色々変えていきました。
―その1回目から2回目の改善について詳しく伺いたいです……!
酒井:まず、毎回イベントの終了後には反省点を相談していて。1回目のイベントで「コロナと教育」というテーマを選んだ意図としては、教育とは全員がなんらかの形で影響を受けていて、かつ世界各国の方針もかなり異なるものなので面白い、と思ったからなんですが、学校で頻繁に扱われている話題だったらしく、次は「オリンピック」をテーマにしました。
形式としては、1回目は事前のインプットがあった方が話しやすいだろうということでプレゼンから始めたのですが、硬い雰囲気になってしまって……。実際にそのようなコメントもありました。また、何か話題がある方が話しやすいと考え、ディスカッションクエスチョンを提示したのですが、それ以外のことについてあまり話せなくなってしまって……。
それらを改善して2回目はプレゼンの時間を短縮し、短い質問についてのディスカッションに加えて、東京オリンピックのロゴを作成するアクティビティーを組み込むようにしました。このイベントは学校の授業じゃないですし、カリキュラムなどに沿う必要がないので、周囲の人が高いレベルで英語を話している中でも、自分自身も楽しんで英語が自然と身に付くような機会になっていたらいいなと思います。
―たくさんの反省、改善を繰り返してきたんですね。反省が活かせたと思う瞬間はありましたか?
酒井:2回目はディスカッションよりも会話がよくできたと感じました。日常的な話題が挙がったり、お互い質問し合う場面がいくつかあったりしたので進展したかなと。ロゴを作る上で会話をする必要もありましたし、僕自身も楽しいと感じました。
―自分が“楽しい”と感じることは重要ですよね。
酒井:そうですね。初めはロゴを作るというトピックをちゃんと楽しめるか不安だったんですが、実際に参加してみたら面白かったので良かったです。
―イベント毎にアンケートを取っているということでしたが、その中で嬉しかったり手応えを感じたコメントはあったりしましたか?
酒井:2回目のイベント開催後のアンケートでは、イベント内容よりも東京オリンピックのロゴを作成するアクティビティに関してのコメントが多かったので、手応えを感じました。初対面の人と話し合いながら何かを作り上げることで、発表の中でも個性を出すことができたので、それが面白かったのかなと思います。
「BubbleJapanのコミュニティを通して、“英語を話してみよう”、“英語を話すのは楽しい”と感じて欲しい。」ーこれから開催するイベントに向けて、運営側の苦労
―2回目から3回目のイベント開催に関して、反省点はありましたか?
(2回目のイベント「Tokyo Olympics」のアクティビティ“東京オリンピックのロゴを作ろう!”の画像)
酒井:まず2回目は楽しかった一方で、自分から積極的に話す雰囲気ではなかったという反省がありました。Googleスライドを使ったので会話しなくても出来てしまう部分があったり、意見がある人が何か言えば良いという状況になったりしたので、もう少し自然に会話が生まれるアクティビティにしたいねと。
それで3回目のイベントは、魅力度ランキングの比較的低い都道府県を一つずつ選び、その都道府県について写真や資料を集めてプレゼンするというアクティビティを考えました。一緒に検索をしたり、発表をする上で主張したいことを話し合ったりする必要があるからです。
―手応えはどうでしたか?
酒井:正直、2回目の方が手応えを感じました。3回目は想像よりも発表に個性が出ず、結局プレゼン以降の会話が活発には生まれませんでした。また発表によって、英語レベルの差が目立ってしまったと感じました。
―お話を聞いている中では、いわゆる英語がペラペラな人が多いのかという印象を持っていました。参加者の英語の実力はどの程度なのでしょうか?
酒井:参加者の英語レベルはグループ内である程度合わせていて、レベルは幅広いです。ネイティブスピーカーが居た方が高いレベルで英語を話す上で良いと考えているので、彼らの人数を調整してグループに混ぜています。気軽に参加出来る楽しい環境を作りたいので、参加者のレベルは問わないです。
―3回のイベントを終えて、次回に向けての目標はありますか?
酒井:未だ最適な形式は見つけられていない気がしています。4回目のイベントはテーマを定めず、「単語」に関するアクティビティを2つほど予定しています。提示された単語の中から知っているものについて一人一人説明したり、分からない単語は全員で意味を当てようとしたり……ある意味教育的な面に戻った気がしなくもないのですが、活発な会話が自然に生まれるかなと。
また、初対面の人と話すのって結構難しいじゃないですか。今までは名前と出身などで終わっていたのを、ゲームのような内容に変えて、アイスブレイクの時間をしっかり取りたいと考えています。
―何度も繰り返し反省をされていて凄いなと思ったのですが、イベント全体を通して何か感じたことはありますか?
酒井:僕自身もプログラムに参加することがあるんですけど、参加者が「また来たい」「価値あるものだった」と感じるイベントを作るのは、英語に限らずものすごく難しいということを実感しましたね。今後BubbleJapanも、また参加してもらえるようなプロジェクトにしていければなと思います。
―自身も参加者の経験があるからこそ、運営側の苦労に改めて気付いたんですね。
酒井:いずれ募集せずとも参加者が集えば良いなと思います。
また、参加者の中でイベントの最後に「積極的に英語を話していきます!」と言ってくれる方がいて…そもそも参加しているだけで既に挑戦しているのに、自分が成長できる環境に入っていく方々を僕は尊敬しています。自分が同じ立場だったら出来るか分からないので、その姿勢に学びがありますね。
―参加者を敬っている……素晴らしいですね!イベントで関わった方と、その後もコミュニケーションを取っていますか?
酒井:現時点ではイベント外でコミュニケーションを取るのは難しいですね。「また話したいから次も参加する」という形はあります。ですが、イベント外でも繋がることができるできるコミュニティにしていきたいし、僕の専攻を活かしてそういうプラットフォームを作れたらな…とか考えています。
―プラットフォームを作る…!凄い。やはりコミュニケーションに重きを置いているんですね。
酒井:そうですね、コミュニケーションの楽しさを引き出していけたら。
「都内だけじゃなく、地方や世界と連携したい」ー今後の展望
―現在はプロジェクトの軸としてイベントがあるように感じたのですが、BubbleJapanの今後の目標は何でしょうか?
酒井:僕は8月にアメリカへ帰るので、それまでにBubbleJapanを自発的なコミュニティにしたいです。BubbleJapanというコミュニティがベースになって、clubhouseで会話するなどの機会を自分から作ろう、と誰もが誰もが積極的に出来るような。
あと、都内メインではなく、地方にもプロジェクトを導入したい。やっぱり、都内よりも海外と繋がることが難しい気がするんです。現在告知しているのは都内の方が多くなっているので、遠方にも交流を広げたいです。僕が行くアメリカの大学と関係性を作りたいとも考えています。道のりは長いと思いますが………(笑)
―アメリカに行ったら代替わり、ではなく今後ごご自身も携わっていくんですね。
酒井:そうですね。Bizjapanの次の代を迎えたら、新メンバーも加入させつつ、自分自身は今後も繋がっていきたいと思っています。
(BubbleJapanのメンバー)
―最後に、BubbleJapanとのコンタクト方法を伺いたいです。
酒井:Twitterやメールアドレス(bubble.jpn@gmail.com)に連絡お願いします!
―では本日の取材は以上になります。ありがとうございました!
酒井:初めての経験で緊張したのですが、楽しかったです。ありがとうございました!
英語を話すこと、世界と繋がること
イベント等の活動への取り組み方から、反省と改善を繰り返し、より良いアクティビティを目指す姿勢が浮かび上がってきた。
酒井さんは、参加者を尊敬し、真摯にサポートするため奮闘していた。
英語力による、上下関係の無いフラットなコミュニティ。
そのような環境でコミュニティを築けば、英語を身近に感じることが出来るだろう。
「オリンピック」を通して、日本と世界の繋がりを考える今、ぜひBubbleJapanを覗いてみるのはいかがだろうか。
English From Around the Worldー世界中のネイティブ英語話者と交流できるイベントー
BubbleJapanは、5月8日に新たなイベントを開催する。
記事を読んで少しでも興味を持った方は、ぜひ参加してみて欲しい。
JST(日本時間):5月8日(土)20:00〜21:30pm(Saturday, May 8th 8-9:30pm)
EST(東部標準時間):Saturday, May 8th 7-8:30 am
世界中のネイティブな英語話者と交流できるイベントです。アイスブレイク後、英語でアクティビティを2つ行ってから他の参加者とブレイクアウトルームで自由に交流する時間があります!(by BubbleJapan)
※本イベントはZoomで開催
申し込みはこちらのリンクから ▷https://forms.gle/ywiw7PqZzy5Mfdiv5
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(文/やま)